不動産投資において、物件を購入する前の現地調査はとても重要な事項のひとつです。
現地調査をあまり行わずに購入すると想定外のリスクを被る可能性が高いのですが、詳しく調べずに購入をしてしまい、後悔をしている不動産投資家の方は非常に多いです。
この記事では、賃貸仲介・管理業界歴14年、不動産業界歴20年の筆者が物件調査の時に見ておくべきポイントなどを、注意点も含めて具体的な例を挙げて解説します。
物件選びは現地調査が必須
不動産投資の物件選びをする際には、綿密な現地調査が必須です。
調査を綿密にしなければいけない理由としては、以下の3つがあります。
不動産会社が提示している物件情報との整合性を確認するため
不動産会社が作成した物件情報は、方角や間取り図などが間違えている場合などがあります。
現地調査をする際には募集図面をプリントアウトして持参し、書き込みをしておくと後日思い出すことができます。見学をした時間なども書いておくと良いです。
物件情報に記載事項してあること以外の情報を確認するため
日当たりの具合、音、におい、窓から見た景色、隣の家との距離や室外の人と目線が合ってしまわないかなど、現地に行かなければわからない情報を確認する必要があります。
入居者目線で物件や周辺を見てみるため
物件の印象や近所の雰囲気、子供が多く活気がある、おしゃれな学生が多いなど、物件の魅力や周辺地域の生の情報は現地へ行かないと手に入りません。
現地調査で見るべき6つのポイント
この章では、賃貸管理のプロ目線から見た、物件の現地調査で見ておくべき6つのポイントについて具体的に項目を挙げて紹介をします。
お部屋を見学に来たお客さんは実はこういう所もさり気なくチェックしています。
建物の周囲
・建物の雰囲気や清掃状態は良いか
・日当たりは十分か、どの部屋が暗いか
・方角は間取り図と合っているか
・隣地との距離、隣地への越境、隣地からの越境などはないか
・敷地内に放置物はないか
・フェンスやブロック塀は破損したままになっていないか
・雑草や植栽が伸びたままになっていないか
外壁などの外装
・外壁の塗装に亀裂、はがれ、色褪せなどないか
・階段や手すり部分は錆びて危険な状態になっていないか
・雨樋は破損したままになっていないか
共用部分
・エントランス、廊下、階段に放置物やゴミが散乱していないか
・共用灯の電球は切れていないか
・クモの巣が張っている所はないか
・ゴミ置き場は分別や整理整頓がされ、ゴミが散乱していないか
・集合郵便受けのエリアにチラシが散乱していないか
・駐輪場に放置自転車が多く駐輪したままになっていないか
・宅配ボックスはあるか(オートロック付きで宅配ボックスがないと「置き配」ができない場合があります)
・掲示板には古い日付の告知用文が貼ったままになっていないか
セキュリティ
・オートロックはあるか
・防犯カメラの有無や台数
・隣の建物から泥棒が飛び移ってしまえる建物構造になっていないか
・管理人は常駐か
室内環境
・設備:エアコン、給湯器、照明など、設備の劣化や故障状態
→交換をする必要があるか、費用の概算を試算してみる
・バストイレ別か
・洗濯機置き場の位置や大きさ
→室内か室外か(室外は女性が敬遠します)、最近の洗濯機が収まるスペースか
・部屋の広さや壁の厚さ、防音性
・水まわり(キッチン、トイレ、浴室、洗面台)の劣化状況や使いやすさ
・カビや結露など湿気の状態
湿度の高い部屋は洋服や家具がカビだらけになり、入居者がすぐに退去してしまいますのでしっかりとした確認が必要です。
窓サッシの横や下の部分…木材が変色していないか。窓に結露はないか
室内の壁…壁紙が浮いていないか
クローゼット内…隅の部分にカビやシミの跡はないか
住んでいる入居者
・総戸数のうちで何室が空室になっているのかを現地で確認(集合郵便受け、電気メーターや水道メーターなどの状況から確認が可能)
・各住戸の玄関前や共用廊下にゴミや私物を置いていないか
・不特定多数の人の出入りはないか
周辺環境調査で見るべき4つのポイント
この章では、物件の周辺環境について見ておくべきポイントを4つ紹介します。
物件を現地調査する際には、必ず周辺地域も確認が必要です。
駅までの距離
・実際に歩いてかかる時間を測る
・歩きやすさ、歩道の有無
・途中に坂はないか
・夜には街灯が多くついて道が明るいか
・交通量の多さ、信号待ちの長さ
嫌悪施設の有無
嫌悪施設とは、近くにあると入居者が敬遠してしまいがちな施設のことを言います。例えば、下水処理場、火葬場、キャバクラなどの飲み屋、風俗店、ギャンブル店、煙やにおいが出る施設などが挙げられます。
周辺地域の環境
徒歩圏内に下記のお店や施設があるかを確認しましょう。
・学生や会社員向けの物件:
コンビニ、夜遅くまで営業しているスーパーなどがあると買い物がしやすい
・ファミリー向けの物件:
スーパー、ドラッグストア、病院、小学校、公園などがあるか
立地環境
・車が頻繁に通行する道路沿いにないか
→車が走行する音やクラクションが24時間うるさい
・大きい信号機の近くにないか
→車の発進音やクラクションなどが響く
・踏切や線路は近くにないか
→電車の走行音や振動、踏切の音がしてTVの音が聞こえづらい
・消防署は近くにないか
→毎朝の試運転や訓練、24時間頻繁に出動がある
現地調査を行う際の注意点
この章では、現地確認を行う上での注意点について解説します。事前にしっかりと準備をして現地調査に臨みましょう。
無断で敷地内に立ち入らない
無断で建物内をうろうろしていると不法侵入で通報されてしまいます。物件を詳しく見たい場合には、不動産会社に連絡をして立ち会ってもらいましょう。
入居者目線で見る
利回りや入居率は大切な数値ですが、現地でしかわからないことは非常に多いです。また、物件周辺を歩くことで、入居する人のターゲット層も想定することができます。入居者目線で物件を見て、雰囲気、清潔感、住みやすさなどを想像してみましょう。
複数回時間を変えて訪れてみる
駅の近くなのに昼間は静かだと感じた物件も、夜になってみたら客引きや、酔っ払いなどが行き来する飲み屋街であるかもしれません。朝と夜、平日と休日など、時間を変えて複数回見に行きましょう。
物件の価格と家賃相場を自分でも調べる
不動産会社は利回りや駅からの距離など、良いことだけ強調して、短所などは詳しく説明しないこともよくあります。また、販売価格も不動産会社の都合で、相場よりも高くしたり安くしたりする場合があります。物件価格や家賃相場は一度自分で比較をして、現在募集をしている金額が適正であるか確認をしましょう。
相場価格の調べ方は
・物件の近くにある地元の不動産会社を訪問して相場やニーズなどを聞く
・不動産情報サイトで物件のある地域を検索して調べる
・国土交通省の「土地総合情報システム」というWEBサイトで、
販売価格の履歴情報などを確認してみる
参考:国土交通省「土地総合情報システム」
まとめ
この記事では、物件調査の時に見ておくべきポイントや注意点について具体的に解説しました。不動産投資において、物件の現地調査は重要な事項の一つですが、物件価格、家賃相場、近隣の競合物件、空室率、入居者の属性など、物件の収益性などの数値についても詳しく調査しておくようにしましょう。
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