賃貸物件の自主管理と管理委託のちがいとは?賃貸管理会社勤務のプロが解説!

不動産投資は物件を購入し、満室になったらそれで終わりでなく、入居してからが本当のスタートです。
管理が不十分で入居者の満足が得られないと退室につながり、たちまち空室だらけの物件になってしまいます。

この記事では、管理業務の内容、自主管理と管理委託のちがい、それぞれの管理方法に向いている人などについて元賃貸管理会社勤務約14年、不動産業界歴20年以上の筆者がプロの目線で解説します。

目次

賃貸管理の業務内容

この章では、賃貸管理の業務内容についてわかりやすく解説します。賃貸管理業務は、大きく分けて下記の5つに分類されます。

①募集に関する業務

入居者募集から契約、入居するまでの業務です。
入居者の募集・入居審査・賃貸借契約の締結など

②家賃に関する業務

家賃の回収と滞納者に対する督促などを行います。
家賃の集金代行・入金管理・滞納督促など

③契約に関する業務

契約の更新から退室までの業務となります。
契約の更新・退去立会い・敷金精算・鍵の保管など

④トラブルに関する業務

入居者からの設備修繕依頼やクレーム対応が中心です。
設備の故障対応・漏水対応・入居者間のトラブル(騒音など)・近隣とのトラブル(騒音やゴミの捨て方など)・カラスによるゴミの散乱片付けなど

⑤建物に関する業務

工事、法定点検、清掃が中心の業務です。
建物や設備の修繕・退去時の原状回復工事・リノベーション工事・消防設備点検・エレベーターなどの点検・貯水槽清掃と点検・大規模修繕工事・日常清掃・定期清掃 他など

上記はほんの1例となっており、それぞれの業務には対応できる会社とできない会社があります。
どこまでが通常業務の範囲内で、どこからがオプション業務であるかを事前に確認しておくことが重要です。
各管理会社へ実際にヒアリングをして確認をしましょう。

自主管理と管理委託のちがい

この章では、自主管理と管理委託のちがいについて解説します。

自主管理
自主管理とは、賃貸物件の管理を管理会社へ委託せず、オーナー自らが管理者として全ての物件管理業務を行うことを言います。

管理委託
管理委託とは、物件の管理業務を管理会社へ委託することを言います。
大きく分けると3つのパターンになります。

①全部管理委託

入居者の募集から賃貸管理まで、賃貸管理に関する全ての業務を管理会社に任せることができます。
業務の手間は全くかからなくなりますが、その分管理手数料は一部管理と比べて割高になります。

②一部管理委託

オーナーが委託したい作業内容を選択して、一部の業務のみを管理会社へ任せることができます。
コストが安い分、管理会社とのやりとりに手間がかかります。
 例)設備故障など入居者対応のみ、家賃の集金回収業務のみ、清掃作業のみ など

③サブリース会社に委託する

サブリース契約とは、管理会社が借主としてオーナーから物件を借上げ、管理会社が貸主として入居者と賃貸借契約を締結する契約の仕組みのことをいいます。
たとえ空室であっても家賃が入ってきますが、借上げ金額が低いことがデメリットとなります。

自主管理のメリット・デメリット

この章では、自主管理のメリット・デメリットについて、私が管理会社勤務から得た経験を元にわかりやすく解説します。

自主管理のメリット

コスト面のほかに、管理委託ではできない選択の自由度、コミュニケーションに関する面、ノウハウの習得など、積極的な内容が中心です。

①管理委託手数料を支払わなくてよい
②入居者と直接コミュニケーションを多くとることができる
③賃貸管理に関する知識やノウハウを身につけることができる
④設備修繕やリフォーム工事などの業者を自由に探して選ぶことができる
⑤複数の賃貸仲介会社に客付けを直接依頼できる

自主管理のデメリット

膨大な手間や時間がかかり、メンタル面で常に大きな負担がかかるという内容が中心です。

①24時間、365日クレーム対応や管理業務に追われるので気が休まらない
②不十分な管理業務で資産価値が下がってしまう可能性がある
③オーナーの知識不足によって入居者の不満が募り、退去に繋がってしまう
④設備の修理や害虫駆除、大規模修繕など、業者を自分で探す必要がある
⑤相談できる人がいない中で、不慣れであっても全ての業務への判断に責任を負わなければいけない

管理委託のメリット・デメリット

この章では、管理委託のメリット・デメリットについて、私が管理会社勤務から得た経験を元にわかりやすく解説します。

管理委託のメリット

お金を払って管理業務をプロに任せてしまうことによって、時間や手間、ストレスなどが軽減されるため、本業やその他のことに時間を使うことが可能となります。

①管理業務やクレーム対応にかかる膨大な時間、労力、ストレスなどを削減できる
②管理会社は管理業務に関する専門的な知識や経験、ノウハウを持っているため、何かあった時に相談や助言を受けることができる
③遠方の物件や多くの物件数であっても所有することができる
④管理会社が入居者を募集する窓口になってくれる
⑤管理会社は多くの業者とつながりがあるため、工事金額や施工方法の比較などができる

管理委託のデメリット

コスト面や、管理会社の業務内容やレベルのちがい、オーナーの知識や経験値が上がっていかないことが挙げられます。

①管理委託手数料を支払わなければならない
②管理会社によって業務内容や管理業務のレベルが異なる
③オーナーが物件や入居者についてあまり詳しくなれない

自主管理と管理委託どっちがいい?

結局、自主管理と管理委託のどちらがいいの?という質問が多いですが、それぞれに向いている人は異なります。
この章では、自主管理と管理委託それぞれに向いている人について解説します。

自主管理が向いている人

自主管理が向いている人は以下の通りです。

①入居者や近隣住民と上手くコミュニケーションが取れる(取りたい)人
②専業大家として賃貸経営を行う(行いたい)覚悟と時間的に余裕がある人
③物件が近所にあり、漏水事故など何かあった際にはすぐに駆けつけることができる人
④管理する戸数が少ない場合

自分では副業のつもりであっても、入居者からは管理会社と同じレベルの業務内容が求められます。
中途半端な業務内容では大きなクレームにつながり、資産価値も低下してしまいます。
専業として本腰を入れて業務を行える人が向いているといえます。

管理委託が向いている人

管理委託が向いている人は、以下の通りです。

①会社員などで、管理運営に時間を割くことができない人
②所有する物件が遠方にある場合
③人づきあいが苦手な人、面倒くさいことが嫌いな人
④所有する物件の棟数や戸数が多い場合
⑤プロの管理業務や運営を学びたい人

会社員などで、コストはかかっても時間や手間を極力抑えたいという人が向いています。
これまで自主管理であっても、所有する物件が多くなってきた場合には管理委託に切り替え、空室対策や退去防止策などの営業戦略などに注力した方が賃貸経営は上手くいきます。

まとめ

この記事では、自主管理と管理委託のちがい、それぞれの管理方法に向いている人について詳しく解説しました。
どちらを選ぶかは物件の規模や立地、自分の好みや性格などによっても異なってきます。
管理委託を選択して管理会社を選ぶ際には、複数の管理会社の業務内容や料金を詳しく比較した上で、慎重に決定をしましょう。

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この記事を書いた人

■ペンネーム
小泉寿洋(こいずみとしひろ)
■不動産歴
約18年
■保有資格
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP、ホームステージャー1級(LIFE)、終活カウンセラー1級、終活ガイド1級、遺品整理士、相続診断士、福祉住環境コーディネーター2級他
■得意なジャンル
賃貸不動産の仲介・管理、不動産投資、賃貸不動産経営
■簡単な自己紹介
上場グループに所属する不動産賃貸管理会社で賃貸仲介店舗、賃貸管理部門に所属し、社員から部門の管理職まで14年半ほど従事。その後、不動産仲介・リノベーション工事・生前整理・終活サポートの会社を仲間と立ち上げ、現在はフリーランスにて賃貸経営・賃貸管理・終活に関してのアドバイスやコンサルティング、終活セミナー講師、不動産系やFP系のライターなど各方面で活動中。

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