「賃貸仲介会社や管理会社がいつまでたっても部屋を決めてくれない」とお悩みの大家さんも多いと思います。
この記事では、満室経営に必要な競合物件の調査をする方法について、賃貸管理会社勤務歴約14年、不動産業界歴20年以上の筆者が具体的にわかりやすく解説をします。
競合物件の調査結果をもとに、仲介会社や管理会社へ戦略的な相談をしてみましょう。
満室経営の為にオーナーがすべきこと
空室がなかなか決まらないのを賃貸仲介・管理会社のせいにしていませんか?
賃貸仲介・管理会社が本気にならないのは、具体的な相談や指示をしていない自分の責任でもあります。賃貸不動産の満室経営には、ターゲットとなる入居者層のニーズや競合物件の定期的な調査が必須です。
ところが、自分が所有する物件のことをよく知らずに不動産会社に丸投げする大家さんがとても多いのが現状です。
不動産会社の担当者は多くの募集物件を抱えているため、そこまで細かく調査してはくれません。賃貸経営はチームワークが大切です。市場調査や競合物件の調査を自分がしっかりと行った上で、賃貸のプロと戦略的なタッグを組むことが必要とされます。
競合物件調査はなぜ必要なのか?
競合物件や市場ニーズを調査することには3つのメリットがあります。
①市場のニーズをつかんでおくことで、ターゲットとなる入居者を絞り込むことができる
②競合物件との差別化を図った具体的な戦略を考えることができる
③所有している物件が空室となる原因や課題となる点を客観的に知ることができる
「なんとなく空室」で悩むより、「この弱点を克服するには」ということで具体的なアイデアを出しつつ悩んだほうが、満室経営により近づきやすい考え方であると言えます。
また、空室となるたびに管理会社から「今回退去をした理由」なども聞いておくと、精度の高い生のデータとして蓄積しておくことができます。
競合物件調査のための3ステップ
この章では、戦略的に競合調査を行うための具体的な方法や手順について詳しく解説します。
1.競合物件を調査する
競合物件を調査する方法は3つあります。
①不動産情報サイトで徹底的に調べる「SUUMO」、「LIFULL HOME’S」、「at home」などの賃貸ポータルサイトで徹底的に調べてみましょう。
所有する物件がある最寄り駅などから、駅からの徒歩での距離、間取りのタイプ、賃料、広さ、築年数などを入力し、同じエリア内にある競合物件の相場賃料や募集物件数がいくつあるかなどを把握しましょう。
競合物件は最低でも下記項目を調査して、表にまとめておくとわかりやすいです。
・立地(最寄り駅からの徒歩で何分かかるか)
・間取りタイプ(1K、2DKなど)
・築年数
・構造(アパートかマンションか、木造か鉄筋コンクリート造かなど)
・何階が募集中か(階数によって賃料は異なります)
・家賃相場(同じグレードの物件での賃料相場)
・設備(どんな設備になっているか)
・入居条件(ペット可や高齢者かなど)・広さや平米単価(平米単価=部屋の広さ÷1㎡)
・賃料、共益費
・初期費用
また、調査をする際に下記のサイトを参考にするのも効率が良い方法です。
・LIFULL HOME’S:「見える!賃貸経営」
賃貸オーナー向けのデータが見やすくまとまっており、地域ごとの「空室率」、「想定利回り」、「賃貸掲載物件数」、「家賃相場」などを見ることができます。
出典:(LIFULL HOME’S 不動産投資 「見える!賃貸経営」)
・SUUMO:「賃料設備相場チェッカー」
利用をするには会員登録が必要ですが、地域ごとの「賃料相場」、「坪賃料・㎡賃料」、「付帯設備の装着率」、「契約条件」、「その他条件」などをグラフで見ることができます。
出典:(SUUMO賃貸経営サポート「賃料・設備相場チェッカー」)
②所有物件の周辺を歩く
所有物件の周辺を定期的に歩いてみましょう。
近隣の賃貸物件の空室情報は、窓にかかるカーテンの有無や集合郵便受けに貼ってあるチラシの投函防止シールなどによって把握することが可能です。注意点として、チェックする際には不審な行動や不法侵入は絶対に避けましょう。
また、定期的に周辺を歩くことで、近隣に大きな建物が建設され日陰になってしまった、大型スーパーが出店した、競合するアパートが近所に建ったなど、最新の近隣情報を把握しておくことができます。
③賃貸仲介・管理会社の営業担当者にヒアリングをする
いつも依頼をしている賃貸仲介の会社や管理会社に電話や訪問などでヒアリングをしましょう。
店長などの責任者のほうが多くの事例や最新の情報を持っているはずです。近隣で募集をしているオーナーである旨を伝えれば、日頃募集を依頼していない不動産会社であっても教えてもらえるはずです。
・近隣物件の成約状況
・物件周辺の賃料や初期費用の相場
・近隣物件の空室対策に関する好事例 など
同じエリアの競合物件の情報をヒアリングすることによって、ネットでは得られない新たなヒントを得られることがあります。
所有物件と比較をする
ネット調査や現地調査で得られたデータは、ノートやエクセルデータなどにまとめておきましょう。
所有している物件の強み、近隣物件と比較して不足している設備、相場賃料と乖離している金額差などは具体的にしておくと後で戦略を練りやすいです。近隣の物件も随時賃料条件などを変更しています。競合調査は一度きりでなく、定期的に行う様に心掛けましょう。
差別化する戦略を考える
調査データをまとめたら、競合物件と差別化をする具体的な戦略を考えていきます。
・ターゲットとする入居者に向けて「物件のコンセプト」
・人気設備の導入
・女性入居者を意識したセキュリティ面の強化
・契約条件や初期費用の見直し(敷金・礼金・更新料など)
・入居条件の緩和(単身高齢者相談可・外国人相談可・バイク相談可など)
・募集の方法(ホームステージングを行って募集・SNSに注力など)
・キャンペーン(フリーレント・期間限定賃料減額キャンペーンなど)
調査したデータをもっていきなり賃貸のプロに相談をしても、設備導入やリノベーションなどの高額な費用がかかる提案をされることがしばしばあります。
まずは自分で戦略を練り、そのアイデアに対する感想や補足となるアイデアなどを求める方が賢明と言えます。
賃料の改定は、一度行ってしまうと物件全体の賃料を見直すことに繋がってしまい、利回りが大きく下ってしまうので、最終手段と心得ておきましょう。
満室経営の為に積極的な戦略作りを
この記事では、競合物件を調査することのメリット、具体的な競合調査の方法などについて解説しました。
まずは自分でじっくり競合調査をして分析し、賃貸仲介会社や管理会社などのプロに相談をしながら積極的な戦略を立てて、賃貸経営の勝ち組となりましょう。
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