家賃滞納者への対処法と上手に使いたい法的手段を賃貸管理のプロが解説!

家賃の滞納は、早期に適切な対処をしないとすぐに回収不能となってしまい、賃貸経営を行う上で大きなマイナスとなってしまいます。

この記事では、家賃滞納者に対する対処方法や手順、法的手段、大家さん自身がやってはいけない行動、家賃滞納を未然に防ぐための対応策について、賃貸業界歴約14年、不動産業界歴約20年の筆者がわかりやすく解説をします。

目次

家賃滞納となる主な原因

家賃滞納が発生する主な原因は、大きく分けて3つあります。まずは原因を知り、対策を考えましょう。

家賃支払い日を忘れていた

家賃を支払うことはできるが、支払日をうっかり忘れてしまった場合です。家賃の回収方法が振込の場合に起こりやすいケースと言えます。

収入が減ってしまった・給与の支払遅延

病気やケガによる欠勤、勤務先の経営悪化や倒産による未払い、給与の支払遅延などの理由で、以前よりも収入が減ってしまった・入金が遅れているというケースです。

金銭的に困窮している状況

退職をして現在休職中で無職の状態、病気で療養中のため休職中、急な出費が重なったなどの理由で金銭的に困窮している場合です。

家賃滞納を解決するための対処法

家賃滞納が発生してから解決するまでの流れは以下になります。違法な督促とならない様、慎重に進めていく必要があります。

入居者へ電話や訪問、書面で連絡をする

入居者に電話をして、支払い状況を確認します。電話がつながらない、電話連絡をしても家賃の支払いがない場合には書面での督促、訪問にて対面での督促へと進みます。

連帯保証人、もしくは家賃保証会社に連絡をする

連帯保証人、または家賃保証会社へ現在家賃の滞納状態である旨の連絡をして、家賃の支払いを求めます。

内容証明郵便を送付する

入居者に対して、内容証明郵便にて滞納家賃の支払催告書を送付します。

契約解除を通知し、明け渡しを請求する

入居者に対し、契約を解除、任意の建物の明け渡しを書面にて請求します。

訴訟に向けての契約解除となる目安は

・3ヶ月以上の長期滞納がある

・入居者が家賃を支払う意思がない

・大家さんと入居者との信頼関係が破綻している

などとなります。

法的手段

期限までに支払いがない場合、法的手段をとる手続きに入ります。

入居者の経済状況から、支払い能力があるとわかっている場合には支払督促または少額訴訟、支払い能力がない、支払う意思がない、退去をしてもらいたい場合には建物明渡し請求訴訟への手続きとなります。

強制執行

訴訟で明け渡しの判決が出ても約束の期日までに入居者が物件を明け渡さない場合、裁判所による強制執行が行われます。

督促に応じない場合の手段

滞納をしている入居者が督促に応じない場合には、弁護士に相談をした上で法的手段を検討しましょう。

支払督促

申立てによって裁判所から滞納をしている入居者に対して督促状を送付するという、裁判所へ行かずにできる手続きのことをいいます。

入居者が異議を唱えた場合には通常の訴訟へと移行します。

少額訴訟

60万円以下の金銭の支払いを請求する際に利用できる手続きです。

通常の訴訟よりも訴訟費用が安く、原則1回の審理で判決が言い渡される訴訟となります。入居者が判決に異議を唱えた場合には通常の訴訟へと移行します。

建物明渡し請求訴訟

法的に物件の明け渡しを求めるための通常の民事訴訟で、併せて滞納家賃も請求することができます。

訴訟の期間は半年ほどかかり、訴訟費用や強制執行などにかかる費用を合計すると、他の2つの方法と比較してとても高額になってしまいます。

滞納督促時にやってはいけない大家の行動

ここでは、家賃滞納の督促時に大家さんがやってはいけない行動についてご紹介します。

入居者から訴えられない様、事前によく確認をしましょう。

玄関ドアやポストなどに督促をする内容の張り紙をする

玄関ドアやドアポストなどに家賃督促をする内容の張り紙をすることは、他の入居者に家賃滞納をしていることがわかってしまいプライバシーを侵害してしまいます。
督促状は封をしてポストへ投函しましょう。

早朝や深夜に何度も電話や訪問を行い督促する

貸金業法では、夜9時から翌朝8時までの時間帯での電話、訪問などによる取り立てを禁止しています。
同じ日に何度も電話や訪問する行為も脅迫的な督促とみなされることがありますので気をつけましょう。

連帯保証人以外の第三者や職場、学校などに電話をする

貸金業法では、入居者と連帯保証人以外の人に対しての家賃督促、入居者の職場や学校などへの連絡や訪問などを禁止していますので連絡を避ける必要があります。

合鍵を使って勝手に室内に入り荷物や家具を撤去する

大家さんが持っている合鍵を使っての無断入室や、荷物・家具などの撤去は不法行為にあたりますので絶対に避けましょう。

入居者に無断で鍵交換を行う

無断入室と同様に、無断で鍵交換をする行為は「自力救済の禁止」に該当するため、入居者より訴えられる可能性があります。

家賃滞納を未然に防ぐ対応策とは?

ここでは、家賃滞納を未然に防ぐための対応策について紹介します。
これらの方法を実行しながら、毎月の入金確認をこまめに行っていくことが重要です。

入居審査を入念に行う

入居審査の基準は管理会社によって異なります。
審査基準が明確で、書類だけでなく対面でもしっかりと審査している管理会社を選ぶようにしましょう。

連帯保証人を必ずつける

入居者と同等以上の収入がある連帯保証人を必ずつけてもらうようにします。
親が高齢である、定収入・不安定な収入であるなどの場合には、収入額が不足している為、入居申込時に家賃保証会社を利用してもらうよう説明をする必要があります。

家賃保証会社を利用してもらう

近年は家賃保証会社の利用を必須とする契約が一般的となっています。家賃滞納発生時の保証内容などについて詳しく調べた上で、入居する際の契約条件として取り入れましょう。

家賃の支払いを自動引き落としにする

家賃の支払い方法を、入居者からの振込から自動引き落としへと切り替えてもらいましょう。管理会社によってはクレジットカード払いを利用できるケースもあります。

日頃から入居者とコミュニケーションをとっておく

日頃から物件を掃き掃除するなどしながら定期的に入居者とコミュニケーションをとっておくと、入居者も安心して暮らすことができ、家賃の支払いも気にかけるようになってきます。

まとめ

この記事では、家賃滞納者に対する対処法や手順、やってはいけない行動などについて、詳しく説明をしました。

普段、管理会社に家賃収納を委託している場合であっても、督促・訴訟事務手続き関係からは弁護士の仕事となりますので、早めに相談をして滞納家賃の回収を進めていきましょう。

不動産のご相談はこちらから

イエジャーナルでは不動産の売却や購入のご相談を承ります。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

■ペンネーム
小泉寿洋(こいずみとしひろ)
■不動産歴
約18年
■保有資格
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP、ホームステージャー1級(LIFE)、終活カウンセラー1級、終活ガイド1級、遺品整理士、相続診断士、福祉住環境コーディネーター2級他
■得意なジャンル
賃貸不動産の仲介・管理、不動産投資、賃貸不動産経営
■簡単な自己紹介
上場グループに所属する不動産賃貸管理会社で賃貸仲介店舗、賃貸管理部門に所属し、社員から部門の管理職まで14年半ほど従事。その後、不動産仲介・リノベーション工事・生前整理・終活サポートの会社を仲間と立ち上げ、現在はフリーランスにて賃貸経営・賃貸管理・終活に関してのアドバイスやコンサルティング、終活セミナー講師、不動産系やFP系のライターなど各方面で活動中。

目次