アパート経営の空室対策を賃貸管理の専門家が解説!必ずやるべき退去対策とは

最近やっと満室になり安堵している所、すぐにまた退去による解約となってしまい、がっかりした経験はありませんか?

入居者に長く住み続けてもらうための施策は「テナントリテンション」といい、重要な空室対策の1つです。

この記事では、安定した賃貸経営を目指すために重要な「入居者の退去防止策」について、賃貸業界歴約14年、不動産業界歴約20年で元賃貸仲介・管理会社勤務の筆者がわかりやすく解説をします。

目次

退去防止策はなぜ重要なのか?

この章では、なぜ入居者の退去の防止策が重要なのかについて、わかりやすく解説します。

賃貸物件の退去には2種類ある

賃貸物件の退去には2種類あり、事前に対策を立てて防ぐことができる退去、防ぐことができない退去に分かれます。

入学や進学、就職や転勤、結婚などによる退去
入居者の人生における環境の変化によるものであるため、事前に対策を立てて退去を防ぐことはできません。

現在の住まいに対して不満による退去
入居者の不満が溜まっていかない様、事前に対策を立てて退去を防ぐことが可能です。

入居者の退去が続くと多くの費用損失となる

入居者の退去が続くと、空室期間や原状回復費用など多くの費用損失が重なっていき、賃貸経営を悪化させます。

例えば賃貸物件の入居者が退去し、新規入居者が決まるまでの空室期間が3ヶ月であった場合、空室3ヶ月分の賃料、原状回復に関する費用2ヶ月分、仲介会社への業務報酬1ヶ月分、合計すると約半年分の賃料に該当する費用が一度の退去で損失となってしまいます。

退去時アンケートで現状把握を

退去状況の現状把握をするためには、毎回退去をする入居者に「退去時アンケート」を書いてもらい、空室となってしまう原因を調査・分析しましょう。

入居者が退去してしまう主な理由

この章では、入居者が物件を退去してしまう理由について解説をします。

立地、建物、設備に対しての不満

立地に関する不満では、最寄り駅までの距離、交通アクセスが悪い、日当たりが良くない、目の前の道路を通行する車の音がうるさいなどが挙げられます。建物では、劣化による雨漏り、老朽化で見映えが悪いなどの不満が多く、設備に関しては、エアコンや給湯器が古くなり不具合が多いことなどが不満の内容として上位を占めます。設備の不具合などは入居者の生活に直接影響するため、不満が募りやすいと言えます。

家賃、管理費に対しての不満

家賃や管理費が周囲の物件と比較して高く感じるため、契約更新のタイミングにもっと安い物件への転居を検討する入居者が多いです。

入居者間のトラブル、近隣住民に対しての不満

隣人トラブルはストレスが溜まっていくため、大きな問題へと発展しがちです。

・入居者による深夜の騒音
・ゴミの分別マナーがとても悪い
・ベランダでのタバコの喫煙による煙
・共有部分に置かれた大量の私物など

共同住宅のため、マナーや決まりを守らない入居者が多いと、優良な入居者が退室してしまいます。

管理会社の管理体制に対する不満

管理会社の管理が疎かになっていると、建物は荒れてしまい、退去者が増えてしまいます。

・管理会社に対する要望が改善されない
・管理会社への連絡がいつもつながらない
・ゴミ置き場の清掃がされていない
・共用部の照明が長期間切れたままになっている など

管理会社へまかせっきりで放置している状態は、賃貸オーナーの怠慢でもありますので気をつけましょう。

入居者の退去を防止する方法

この章では、入居者が感じるそれぞれの不満に対して行っておくべき対策についてわかりやすく解説をします。

入居者の退去防止策には費用がかかることが多いため、実施をする前に費用対効果を確認しておく必要がありますので注意しましょう。

立地、建物、設備への不満に対しての対策

対策を行うには大きな費用がかかりますので、費用対効果の検討や複数の業者から見積をとった上での比較検討が必要です。

駐輪場や駐車場の設置をする
 物件の立地を変更することはできないため、弱点をカバーする手段を考えましょう。

建物の修繕や設備の交換
 建物は定期的に業者による点検を行い、早期に修繕しておく必要があります。
 老朽化した室内設備などは、入退去時などに交換の検討を行いましょう。

入居者に人気の設備を導入する
 インターネットなどで「入居者に人気の設備ランキング」などを調べ、導入の検討をしましょう。

防犯対策を強化する
 防犯カメラの設置や防犯フィルムを貼るなど、防犯意識が高い物件であることを入居者へもアピールしましょう。

家賃、管理費などの契約条件への不満に対しての対策

近隣の競合物件をしっかりと調査した上で、契約条件の変更の検討をしましょう。

家賃や管理費
近隣の家賃相場・競合調査を定期的に行いましょう。

入居条件の緩和
1Kでの二人入居可、2DKでのルームシェア可など条件の緩和

更新料をしてもらいやすい条件に変更
更新料を廃止する、長期入居特典として更新回数ごとに値下げ率をアップ、更新時に換気扇や水まわりのクリーニング、古くなったエアコン等の設備を交換するなど、何ができそうか検討してみましょう。

入居者間のトラブル、近隣住民に対しての対策

入居者トラブルはとても退去につながりやすい事項ですので注力する必要があります。

・契約時にルールを細かく明示する
・入居審査を厳しく行う
・騒音などのトラブルには即対応し、掲示板での注意文や各入居者へ通知、電話連絡などでしっかりと対処する

入居者間のトラブルが発生する前に要因となりそうな事柄を排除し、発生してしまった場合には速やかな対応と、細やかな進捗報告が求められます。

管理会社の管理体制に対する対策

共有部分の快適さは管理会社の管理体制によって左右されます。
賃貸オーナー自身も定期的に物件を訪れてチェックを強化しましょう。

・共用部の清掃を入念に行う、もしくは実施回数を増やす。
・建物巡回を細かく行い、メンテナンスの手を抜かない

など、日頃からのメンテナンスや保全活動が大切です。

どうしても改善がされない場合には、担当者の変更や管理会社の見直しを検討しても良いでしょう。

まとめ

この記事では、安定した賃貸経営を目指すために重要な「入居者の退去防止策」について解説をしました。

退去による損失額はとても大きいため、退去防止対策には管理会社との協力体制が不可欠です。
「退去の防止が最大の空室対策」と心得て、日々の賃貸経営に取り組んでいく姿勢が必要です。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

■ペンネーム
小泉寿洋(こいずみとしひろ)
■不動産歴
約18年
■保有資格
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP、ホームステージャー1級(LIFE)、終活カウンセラー1級、終活ガイド1級、遺品整理士、相続診断士、福祉住環境コーディネーター2級他
■得意なジャンル
賃貸不動産の仲介・管理、不動産投資、賃貸不動産経営
■簡単な自己紹介
上場グループに所属する不動産賃貸管理会社で賃貸仲介店舗、賃貸管理部門に所属し、社員から部門の管理職まで14年半ほど従事。その後、不動産仲介・リノベーション工事・生前整理・終活サポートの会社を仲間と立ち上げ、現在はフリーランスにて賃貸経営・賃貸管理・終活に関してのアドバイスやコンサルティング、終活セミナー講師、不動産系やFP系のライターなど各方面で活動中。

目次