「繁忙期が終わっても空室が埋まらない」、「管理会社が言う通りに従ったのに空室のままだ」など、空室対策でお悩みではありませんか?
仲介会社や管理会社に任せきりではなく、自分で分析をして戦略を立てていくことが満室経営への近道です。
この記事では、空室となる原因、空室対策と注意点、効果的な空室対策の進め方を、賃貸業界歴約14年、不動産業界歴約20年以上の筆者がわかりやすく解説します。
空室になる原因を客観的に分析
まずは自分の物件が空室となった原因を客観的に分析して書き出してみましょう。入居者や不動産仲介会社の社員になった気持ちで、冷静に見ることが大切です。
①立地条件が良くない
駅から遠い、幹線道路沿い、線路沿い、急な坂の上、消防署の前など
②物件の外観・設備・内装・間取りが良くない
建物の外観や内装の見た目が古い印象、設備が古い、間取りが使いにくいなど
③家賃・礼金・敷金が相場価格に対して適正ではない
家賃、礼金、敷金などが近隣相場と比較して高く感じるなど
④ターゲットとなる入居者のニーズに合っていない
間取りや設備が入居者のニーズに合っていない、入居者ターゲットを決めていない
⑤入居者の募集や広告のやり方に問題がある
入居者募集の方法が消極的、業者への紹介がうまく出来ていない、広告掲載が不十分
⑥近隣に競合する物件が増えてきた
近所に競合する新しい物件が多く建ってきた
⑦建物の管理が行き届いておらず、共有スペースが暗くて汚い
十分な建物管理がされず共用部分が常に汚く暗いため、入居者のモラルも低下し、優良な入居者が退去してしまう
空室対策術と注意点
この章では、具体的な空室対策と注意点を解説します。物件の状況に合った始めやすい対策から検討をしてみましょう。
①入居者ターゲットを見直す
物件エリアの賃貸ニーズや、過去の入居者データなどを改めて分析し、入居者のターゲット層を見直して具体的に割り出してみると、新たな発見も出てきます。
②募集資料、賃貸ポータルサイトの検索に対応した写真・コメント、広告を見直す
店頭での募集資料、現在賃貸ポータルサイトに掲載されている情報を確認し、写真が古くないか、間取りは正しいか、ありきたりなコメントになっていないかなどを確認し、掲載件数や掲載するサイトなども再検討をしましょう。
また、掲載する写真は空室になる毎に撮り直す、上限数まで入稿することを心掛けましょう。
③入居条件や募集条件の緩和をする
募集条件の見直し・家賃の減額
礼金・敷金などの募集条件を見直し、入居者が借りやすい初期費用にします。
また、更新料無しやフリーレントの実施、仲介会社へ支払う広告料の増額などの策もあります。
注意点としては、相場よりも大幅に安い家賃への値下げや、安易な考え方での入居条件の緩和は、結果的に利益が大幅に減ってしまうことになります。
よく考えた上で最終的な手段としましょう。
入居条件の緩和
ルームシェア可、ペット可、外国人可、単身高齢者可、楽器可など、入居条件の緩和策があります。
注意点としては、メリットが多い反面・デメリットも多くありますので、仲介会社や管理会社にもよく相談をしましょう。
④細やかな建物管理を徹底する
月に一度は大家さん自身が物件に赴き、共用灯が切れたままになっていないか、清掃はされているか、クモの巣がかかっていないか、放置物の有無、ゴミの分別なども確認をして管理会社と状況を共有しましょう。
⑤入居者のニーズに合った設備の導入や安心して暮らせる環境作りをする
インターネットで定期的に発表されている「人気設備ランキング」などを参考に、入居者に人気の高い設備の導入や、劣化した古い設備を新しいものへと交換しましょう。
共用部分に防犯カメラやセキュリティ対策を施すと、女性の入居者も安心して暮らすことができます。
ポイントとしては、入居者のニーズは家賃に対する設備の機能性ですので、設備のグレードよりも賃貸ポータルサイトで設備項目となっている設備を出来るだけ多く設置することです。
⑥内装をリフォーム・リノベーションする
リフォーム工事やリノベーション工事を行うと、古くなった部屋や不人気の間取りを新しく生まれ変わらせることができ、場合によっては家賃の値上げも可能です。
費用対効果を考えずに大規模な工事を行ってしまうと、かかった費用分を回収するのが困難になってしまいますので注意しましょう。
⑦外壁塗装を行い建物の外観を綺麗にする
外壁塗装工事を行って10年以上経っていたら、外壁塗装工事を検討しましょう。
工事を行うと見た目が綺麗になるだけでなく、クラックなどによる雨漏れなどへの対策や予防も行えますので、日頃から費用を積み立てておきましょう。
⑧仲介会社や管理会社と良好な関係を築く
入居者へ物件を紹介してくれる仲介会社と物件の管理をしてくれる管理会社の担当者とは良好な信頼関係を築き、常に連絡を取り合える状況を作りましょう。
⑨ホームステージングを行い入居するイメージ作り
ホームステージングとは、売却や賃貸予定の部屋を家具、照明、インテリア小物などでコーディネートし、モデルルームの様な演出をする手法です。
入居後を具体的にイメージできるため、物件の魅力を最大限に引き出してくれます。
⑩仲介会社が内見をしやすい状況にする
現地にキーボックスをつける、毎週空室情報を仲介会社へメールするなど、仲介会社の手間を省いてあげる行動をとると、担当者の物件への案内回数が増加する可能性があります。
また、前もって案内日がわかっている場合には共用部の清掃などもしておくと、物件案内時に良い印象を与えます。
⑪客付力の高い賃貸管理会社に切り替える
空室を無くすためには高い「客付け力」が必須です。
客付け力が低い管理会社の場合には、管理会社の切り替えもひとつの方法といえます。
⑫日頃から退去防止策を行う
空室対策でとても重要なことは「退去の防止」です。
定期的な入居者アンケートや意見箱を利用するなどして、入居者とコミュニケーションをとりましょう。
また、トラブルの放置は退去に繋がりますので、常にチェックしましょう。
効果的な空室対策の進め方
この章では、効果的な空室対策の手順について解説をします。
1つでも抜かしてしまうと効果が出にくいので、漏れのないように進めていきましょう。
STEP1:現在募集中の募集図面を確認する
仲介会社や管理会社から現在募集中の募集図面をもらい、内容を確認してみましょう。
写真やコメントに修正が必要だと思った際には、担当者へ具体的に伝えましょう。
STEP2:実際に物件へ行き、入居者目線で見学をして改善点を探る
オーナー目線でなく入居者目線で物件全体を細かく見学してみましょう。これまでと違った新しい発見や改善点が見つかるかもしれません。
STEP3:過去の入居者履歴から空室となった原因や自分の物件の入居者層を分析する
管理会社にも協力してもらい、過去に退去した理由や入居者の属性を調べ、自分の力で「物件に適した入居者ターゲット」の分析を行いましょう。
STEP4:物件のあるエリアの賃貸ニーズを調査する
インターネットなどを利用して、物件のあるエリアの最近の賃貸ニーズを調べましょう。
会社員のニーズが高い場所に学生専用アパート、ファミリー層が多い地域に単身用などのミスマッチは致命的ですので、戦略を練る必要があります。
STEP5:近隣の競合物件を徹底的に調査する
近隣にある競合物件の家賃、募集条件、入居条件、設備などを徹底的に調べましょう。
この時、仲介会社の担当者にリサーチを頼むのではなく、自分でリサーチをすることが現実を知る上で、とても重要なポイントです。
STEP6:競合物件と差別化できる点を考える
これまでに調べてきた分析結果をもとに、仲介会社や管理会社の意見も取り入れながら競合物件と差別化できる効果的な策を考えます。
まずはすぐに改善できそうな策から実行してみましょう。
STEP7:募集方法や広告などを再度検討し直す
仲介会社や管理会社とよく相談をしながら、最も効果的な募集方法や広告戦略を検討し直しましょう。
まとめ
この記事では、空室となる原因、具体的な空室対策と注意点、効果的な空室対策の進め方について解説しました。
空室対策では、仲介会社や管理会社に任せたきりにするのではなく、実際に自分の目で物件を見に行き、生のデータで分析を行う、そしてプロである不動産仲介・管理会社に相談することがとても重要です。
まずは実際にできることからコツコツと行動して安定した満室経営を目指しましょう。
イエジャーナルでは不動産の売却や購入のご相談を承ります。