投資用不動産をペット可物件にするメリット・デメリットをプロが解説

不動産投資を行う際に、入居率が高い収益物件として「ペット可物件」の購入を検討している方も多いと思います。

ペット可物件では、メリットも多くありますがデメリットも多く存在します。

この記事では、ペット可物件のメリット・デメリットや失敗しないためのポイントなどを、
賃貸管理会社勤務歴約14年、不動産業界歴20年以上で自身も小型犬を飼っている筆者が詳しく解説します。

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目次

ペット可物件の需要

最近のペット可物件の需要はどのようになっているのでしょうか?
この章でわかりやすく解説します。

一般社団法人ペットフード協会が実施している「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、近年、犬の飼育率は低下、猫の飼育率が増加している状況です。

しかし、今後の飼育意向の調査では、犬の割合が16.2%、猫の割合が14.0%と犬の人気が高く、特に賃貸物件の主な入居者層である20代の若者は、犬の割合が18.5%、猫の割合が14.6%と、他の年代よりも数値が高く、若者にはペット可物件のニーズは高いと想定されます。

ペット可物件人気の背景としては、少子高齢化、独身者の増加、都市部に住む若者からのニーズ、新型コロナウイルス感染拡大時からのリモート化の流れなどが影響しています。

また、この調査では、ペットを飼いたいが飼うことができないという人の最も多い理由が、「集合住宅に住んでいて飼うことを禁止されているため」という理由で一番多く、犬の割合が21.5%、猫の割合が26.6%という高い数値となっています。

このことから、ペット可物件を希望している人の数に対して、供給が依然として不足しているため、実際の飼育数が伸び悩んでいるということがわかります。

ペット可物件への不動産投資は、メリットやデメリット、注意点などを前もってしっかりと理解していれば、有効な手段の一つであるといえます。

出典:(一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査

ペット可投資物件の4つのメリット

この章では、ペット可物件で不動産投資をするメリットについて詳しく解説します。

①競合物件との差別化ができ、高い入居率を期待できる

競合している周辺物件に対して、賃料を下げることなく差別化を図ることができます。
ペット可物件は需要に対して現在も供給が不足しているため、高い入居率が期待できます。

②長期入居となる傾向がある

ペットは度重なる引っ越しによって環境が変わりすぎるとストレスによって弱ってしまうこともあるため、いったん住み始めたら長期入居となり、収益を安定して得られる傾向にあります。

③家賃を高く設定することができる

通常物件の場合、契約時に借主から家賃を下げて欲しいなどの交渉をされがちですが、ペット可物件の場合、ある程度家賃を高く設定したとしてもニーズが高いため、借り手がつきやすい傾向にあります。 

④通常より敷金を多く設定できる

ペットを飼う人は、退室時の原状回復費用が多くかかることを想定している人が多いため、通常より敷金を1カ月分多く設定してもあまり支障はないという傾向にあります。

ペット可投資物件の4つのデメリット


この章では、ペット可物件で不動産投資をするデメリットについて詳しく解説します。

①原状回復費用が高額になりやすい

ペット可物件は、床や壁紙などに傷がつきやすく、匂いや尿のシミ跡などが残ることもあるため、原状回復費用が高額になりやすい傾向にあります。

②近隣住民や他の入居者とのトラブルに発展することもある

匂いや鳴き声などで近隣住民とのトラブルに発展するケースも多くあります。また、途中でペット可物件になった場合には、既存入居者からのクレームやトラブルとなることもあります。

③入居者のターゲット層が限定されてしまう

入居者のターゲット層がペットを飼っている人に限定されてしまうため、幅広いターゲット層を望んでいる賃貸オーナーには難しいです。

④一度ペット可物件にすると容易にペット不可へ戻すことができない

一度ペット可物件にしてしまうと、ペットアレルギーなどを持っている人、ペットの匂いが
気になる人などとトラブルとなってしまう可能性が高いため、容易にペット不可物件へ戻すことはできません。

ペット可投資物件で失敗しないためのポイント

これまで解説しましたデメリットを踏まえて、ペット可物件で失敗しないためにはどのような点に気をつければ良いのでしょうか?4つのポイントを挙げて解説します。

①原状回復の条件を細かく定めておく

床の修復や壁紙の張替えの基準など、原状回復の条件や金額などを細かく定め賃貸契約書の特約に明記しておきましょう。退室時にトラブルとならない様に、合意の確認は契約時の書面で確実に行いましょう。

②ペットの飼育条件やルールの規定を作っておく

ペットに関する飼育条件やルールの規定を書面で作っておき、契約時に写真と共に書面を提出してもらうようにしましょう。

決めておくべき項目の例
・ペットの種類やサイズ(小型の犬・猫は可、爬虫類は不可など)
・飼うことのできる頭数(1頭のみ可など)
・共用部分の使用に関する取り決め(廊下やエレベーターでは抱き抱えるなど)
・バルコニー、ベランダの使用法に関する取り決め(ペット使用不可など)

③購入する際は、最初から建物全体がペット可であった物件を選ぶ

途中からペット可になった物件や一部のみペット可となった物件は、長期的に多くの入居者間トラブルを抱えることになります。購入を検討する際には、最初から建物全体がペット可になっている物件を選ぶようにするべきです。

④ペット用の設備環境を整え、アピールポイントにする

既にペット可物件でも、ペット専用の設備や環境でない場合には、入居者入れ替えの際などに改めて設備環境を整えておくことをおすすめします。

ペット用設備環境の例
・傷に強く丈夫なフロアタイルなどの床材
・ペット用の匂い・汚れ対策を施した壁紙
・柱に傷対策用防護カバー
・ペット用の足洗い場

以上の様な設備環境を整えておくと、不動産賃貸仲介業者は「物件のアピールポイント」
として募集図面にコメントを入れることもできるため、更なる成約率アップへと繋がります。

まとめ

この記事では、不動産投資におけるペット可物件のメリットやデメリット、失敗しないためのポイントなどについて詳しく解説しました。

デメリットと感じることであっても、しっかりと対策をしておくことでメリットへ変わることもあります。

全て自分で判断をするのではなく、不動産賃貸仲介業者や不動産賃貸管理業者など、現場のプロの意見も多く取り入れながら、じっくりと検討してみることをおすすめします。

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この記事を書いた人

■ペンネーム
小泉寿洋(こいずみとしひろ)
■不動産歴
約18年
■保有資格
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP、ホームステージャー1級(LIFE)、終活カウンセラー1級、終活ガイド1級、遺品整理士、相続診断士、福祉住環境コーディネーター2級他
■得意なジャンル
賃貸不動産の仲介・管理、不動産投資、賃貸不動産経営
■簡単な自己紹介
上場グループに所属する不動産賃貸管理会社で賃貸仲介店舗、賃貸管理部門に所属し、社員から部門の管理職まで14年半ほど従事。その後、不動産仲介・リノベーション工事・生前整理・終活サポートの会社を仲間と立ち上げ、現在はフリーランスにて賃貸経営・賃貸管理・終活に関してのアドバイスやコンサルティング、終活セミナー講師、不動産系やFP系のライターなど各方面で活動中。

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