自宅を売却したい!家を売るときの手順と売却時の注意点を不動産のプロが解説!

一生に一度の買い物と言われている家。比較的高額な買い物ですから、家の売買を何度も経験するというのは、あまりイメージが湧かないのではないでしょうか?
つまり、家を売る時の手順を詳しく知る機会が少ないということです。
そこで当記事では、様々な理由で家を売りたい方へ、家を売るときの手順と注意点というテーマでお届けします。ぜひ、最後までご覧ください。

目次

家を売るときに必要な準備

最初に家を売る準備を解説します。
家を売るためには、家を売る目的を明確にした上で必要書類を準備しましょう。必要書類の有無で、かかる費用・かかる時間が異なります。

売却のスピード

同居家族が減少したことを理由に家を売る場合はそれほど急ぎませんが、同居家族が増える・住宅ローンの支払いが厳しくなってきた場合などは、スピード感を意識して準備しなければなりません。
多少は安くても早めに売却するのか、高く売れる購入希望者が現れるのを待つか、家族で話し合って目的を明確にしましょう。

必要書類とその他書類

家を売るためには必要な書類と、必須ではないが欲しい書類とに分類されます。
特に家の権利を主張するアレを紛失すると、余分な費用が発生します。大切に保管していると思いますので、探してください。

必要な書類

家を売る意志が固まったら、以下の書類を集めてください。前述したアレとは、登記識別情報通知(俗に言う権利書)のことで、紛失した場合に再発行されるものではありません。
入手するには司法書士との再面談が必要となり、費用も約20〜30万円程度かかります。
・購入した家の売買契約書
・購入した家の重要事項説明書
・登記識別情報通知
・登記完了証
・住宅用家屋証明書
・登記簿謄本

上記の他、身分を証明するために運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・健康保険証の中から、いずれか1点を準備してください。
さらに売却の手続きを進めると住民票と印鑑証明書も必要となります。

必須ではないが欲しい書類

以下の書類が手元にあることで、不動産会社が査定をする際に役所や法務局に赴く時間が省略でき、査定に要する時間を短縮できます。あると便利なので、探してください。
・最新の登記事項要約書(対象土地及び隣地土地)
・地積測量図
・建物図面(間取り図を含む)
・公図・住宅地図・ブルーマップ(住居表示地番対照住宅地図)
・建築確認済証
・インフラ系の配管がわかる書類等

登記事項要約書は隣地の所有者が変更されていると意味がありません。
他の書類を含めて、役所・法務局・水道局などで入手が可能なため、見つからない場合は無理に探す必要はありません。

家を売る時の流れ

家を売る時の流れは、一般的に以下の流れで取引されます。
・住宅情報サイトで情報収集
・不動産会社へ査定を依頼
・不動産会社と媒介契約を締結
・買主と売買契約を締結
・引っ越し・物件の引き渡し

上記において、最重要ポイントは媒介契約の締結です。
媒介契約とは売却のサポートを依頼する不動産会社と締結する契約を指します。不動産売却のカギになるといっても過言ではありません。

住宅情報サイトで情報収集

不動産会社へ査定を依頼する前に、住宅情報サイトなどで情報を集めましょう。
集める情報は、同じエリアで販売されている類似物件です。見つからない場合は、近隣のエリアでも問題ありません。
複数の情報を比較することで、おおよその相場を把握できます。誰でも手軽にできる上に、それほど手間もかかりません。

不動産会社へ査定を依頼

相場を把握できたら、2〜3社の不動産会社へ査定を依頼しましょう。
その理由は、良い担当者に巡りあえる確率を高めるためです。
不動産売買に人間が携わる以上、関わる人間にはある程度の知識・経験・スキルが求められます。複数の不動産会社に相談し、担当者の力量を見極めましょう。
最も査定額の高い不動産会社が信頼できるわけではなく、また大手不動産会社だからといって最良の選択とは限りません。
質問への回答・接客対応・話し方・しぐさなど、判断基準は様々です。特に知ったかぶりをする担当者には、注意した方がよさそうです。

不動産会社と媒介契約を締結

良い担当者と巡りあえたら、その不動産会社と媒介契約を締結しましょう。おすすめは専属専任媒介です。
仲介手数料が貴重な収入源となる不動産会社にとって、専属専任媒介を契約したお客様には、何としても貢献したいと考えます。不動産会社の利益が、その延長線上に存在するためです。
また、法律的観点からも、専属専任媒介がおすすめです。
なぜなら、専属専任媒介であっても契約期間の上限は3ヶ月と定められており、これを超えた期間は無効となります。さらに、全ての媒介契約は文書をもって解約が可能です。
つまり、専属専任媒介を締結しても不動産会社の対応に不満があれば、他の不動産会社に変更できるのです。これらが、専属専任媒介がおすすめだという根拠です。

以下の表に、それぞれの媒介契約の違いをまとめました。参考にご覧ください。

専属専任媒介専任媒介一般媒介
契約期間3ヶ月3ヶ月定めなし
報告義務(口頭でも可)1週間に1回以上2週間に1回以上なし
REINS(指定流通機構)への
登録義務
契約日の翌日から
5日以内
(休業日を除く)
契約日の翌日から
7日以内
(休業日を除く)
義務なし
自己発見取引不可可能可能
一般媒介には明示型と非明示型があり、明示型は他の不動産会社と一般媒介契約を締結した場合、売主は不動産会社に報告しなければなりません。一方で非明示型の場合は、この報告義務はありません。

買主と売買契約を締結

家の売却を依頼された不動産会社は、購入希望者からの問い合わせに対応します。現場ではこの問い合わせを反響と呼んでおり、媒介契約のルールにしたがって、売主へ報告します。
そして反響の中から、購入希望者の申し込みが入った段階で販売活動をストップし、売買契約へと移行します。
購入希望者が住宅ローンで家を購入する場合は、金融機関からの事前審査の回答を待ちましょう。
事前審査通過の連絡を受けた段階で、手付金を受け取り、いよいよ売買契約の締結です。一般的には、売買契約を締結した段階で、媒介契約を締結した不動産会社へ仲介手数料の半額を納めます。

引っ越し・物件の引き渡し

売買契約を締結後、買主は金融機関へ本審査を依頼し、本審査通過後に金銭消費貸借契約(以下:金消契約)を金融機関と締結します。売主はこの間に、新居を探して引っ越ししなければなりません。
金消契約以降、融資実行の日にちが確定するため、その日が物件の引き渡し日となります。引き渡しの段階で、売主は不動産会社へ残りの仲介手数料を支払います。
以上が家を売却するまでの流れとなります。続いて、売却時の注意点を解説するので、続きをご覧ください。

売却時の注意点

家の売却には様々な注意点があります。全てを挙げるとキリがないため、代表的な5例を紹介します。これから家の売却を検討されている方は、ぜひご覧ください。
相場を把握する
住宅ローンを組んでいる場合は残債に注意する
買主の属性に注意する
書類や手続きに不備がないか確認する
悪徳な不動産会社に注意する

相場を把握する

媒介契約を締結した不動産会社は、査定額の根拠を示すように宅建業法で定められていますが、売主も相場の把握に努めましょう。住宅情報サイトで調べた知識で充分です。
不動産会社からの査定に疑問を感じたら、住宅情報サイトの物件情報と比較して質問してください。
その内容に納得できない場合は、他の不動産会社にも意見を聞いた方がよいかもしれません。

住宅ローンを組んでいる場合は残債に注意する

住宅ローンを返済しながら現在居住中の家を売却する場合、住宅ローンの残債額を確認しましょう。分からない場合は、金融機関に問い合わせると直ぐに回答が出ます。
住宅ローンの残債と売却価格を比較して、ローンの残債が大きい場合は、抵当権者となる金融機関の承諾を得て任意売却となります。
任意売却は、不足額を現金で用意しなければなりませんが、分割交渉も可能です。この点は、相談時点で住宅ローンの滞納の有無で変わるため、金融機関に相談してください。

買主の属性に注意する

反響があったからといって、むやみに売買契約に応じてはいけません。
金融機関が買主に融資をする場合、属性と呼ばれる基準に則って判断します。審査を行う際に、著しく不利な属性が存在することを、あらかじめ把握しておきましょう。
不安な場合は、媒介契約を締結している不動産会社に相談し、契約にあたって条件を設定するとよいでしょう。
具体的には、契約締結までに金融機関から満額回答が出ている・本審査を通過している、などです。
他にも法的根拠を超えた主張をする買主にも注意しましょう。売主に義務が生じるケースは、境界線の印や杭がない・越境物があるなど法的根拠に基づく場合です。
これを超えた買主の要望や理不尽な値引き交渉には、応じる必要はありません。他に反響が多いときはなおさらです。良い属性の買主が現れるまで、待ちましょう。

書類や手続きに不備がないか確認する

書類や手続きに不備がないか確認しましょう。法律や契約は、「知らなかった」ではすまされません。
例えば契約書に印紙の貼付を忘れた場合には額面の3倍の過怠税が課されます。1万円の印紙の貼付を忘れると、3万円(自己申告であれば1.1倍の1万1千円)です。注意しましょう。

悪徳な不動産会社に注意する

2023年12月末時点で、日本には不動産免許を保有する会社が約129,000社あり、コンビニ店舗数の約2倍に上ります。数字だけに着目すると、悪徳な不動産会社が存在しても不思議ではありません。
では、どのような不動産会社が悪徳なのでしょうか?一つの例として、囲い込みが挙げられます。
囲い込みとは、媒介契約を締結した不動産会社に購入希望者から反響があっても、申し込み中などと理由をつけて断ります。
そして、自分たちで見つけた購入希望者と売買契約を締結し、売主・買主の双方から仲介手数料を得る手法です。
囲い込みが行われていた場合、家が5ヶ月で売却できたとしても、本来なら3ヶ月で売却できたかもしれません。
その間に住宅ローンを返済していれば、売主は2ヶ月分の金利を無駄に支払っていることになるため、許し難い行為です。

不動産免許番号
悪徳かどうかはわかりませんが、不動産会社を判断する指標の一つに免許番号が挙げられます。以下は免許番号の一例です。
国土交通大臣(△)第xxxx号
○○県知事免許(△△)第xxxxx号
カッコ内の数字△は免許の更新回数です。
免許を保有する不動産会社は5年に1回(1996年3月31日以前は3年に1回)更新手続きをしなければなりません。カッコ内の数字が多いほど、更新回数が多いことを示します。
一般論ですが、会社を長く維持するには、それなりの信頼と実績が必要です。それら一つ一つの積み重ねが経験となり、更新回数へと反映されます。

まとめ

家を売る時の流れと、その際の注意点を解説しました。最も大切なことを総じて申し上げると、全てを人任せにしないことです。
特定商取引法をご存じでしょうか?あらかじめトラブルが予想される取引において、消費者を手厚く保護する法律ですが、残念ながら不動産取引は指定されていません。
一方で、宅建業法では宅建業者を売主・一般消費者を買主とする取引の際は、買主を保護するための8種制限という8つのルールが適用されます。
つまり不動産取引は、専門の法律ではリスクが高いことを示している一方で、広く認知されている法律ではノーガードであることを暗に示しているのです。
その真意は、自分の身は自分で守らなければならない事に他なりません。
そのためにも、解らないことを解らないままにせず、ご自身でも勉強した上で納得がいくまで不動産会社に相談しましょう。それが失敗しない家の売却方法です。

不動産のご相談はこちらから

イエジャーナルでは不動産の売却や購入のご相談を承ります。

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この記事を書いた人

■ペンネーム
佐々木 俊介

■保有資格
宅地建物取引士

■得意な不動産ジャンル
宅建業法・都市計画法及び建築基準法に関する注意点・不動産投資

■自己紹介
40歳 既婚 中学生の娘がおります。2021年の住宅の購入をきっかけに副業でWebライターをはじめました。不動産関連記事を手がけるうちに不動産に興味を頂き、2023年の宅建試験に合格。現在は不動産関連のWebライターとして活動中です。

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