自宅を売却したあとも、その家に住み続けることができる「リースバック」という仕組みをご存知ですか?住宅ローンの返済が家計を大きく圧迫している場合や、まとまった現金が必要になった場合は、リースバックを検討してみましょう。今回はリースバックの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。
リースバックの仕組みとは
リースバックは、現在住んでいる家をリースバック業者に売却した後、リースバック業者と賃貸借契約を結ぶことで、その家に住み続けることができる仕組みになっています。老後の資金が心配な方や、高齢で引っ越しが出来ない人、住みなれた家で暮らしたい人には最適な方法と言えるでしょう。
リースバックの流れ
リースバックを利用する際の流れを確認していきましょう。
⦁ 相談・査定依頼
⦁ 査定額の提示
⦁ 契約条件の提示
⦁ 売買契約締結・決済
⦁ 賃貸借契約締結
以下で項目ごとに詳しく解説します。
相談・査定依頼
まずは、リースバック業者に相談します。希望売却価格や今後の家賃、物件の情報などを確認されることがあるため、事前に書類を準備してきましょう。業者の対応や内容などから信頼できる業者であるか見極めることが重要です。
査定額の掲示
査定方法には「机上査定」と「訪問査定」があります。机上査定は書類や物件の情報などを基に査定額を決める方法で、仮査定のようなものです。一方、訪問査定は実際に物件の状況を見て査定額を決定するため、より正確な査定結果を出すことができます。依頼するときは、机上査定だけで判断するのではなく、訪問査定を受けるようにしましょう。
契約条件の提示
査定額に納得できれば、次は契約条件の確認をします。売却価格や家賃などの条件が提示されるため、契約するかどうか判断しましょう。売却価格や家賃に納得できない場合は、交渉してみると調整してくれる可能性もあります。
売買契約締結・決済
双方納得した上で、売買契約を締結させます。売買契約では、売買契約書・重要事項説明書の説明などが行われます。難しい専門用語も多いですが、しっかりと説明を聞いて理解しておきましょう。
賃貸借契約締結
賃貸借契約時に、今後支払う家賃が最終決定します。トラブルを未然に防ぐためにも、契約書の内容はしっかりと確認した上で記名・押印しましょう。
リースバックのメリット・デメリット
リースバックは、まとまった現金が手に入る、売却後も住み続けられる、引っ越しの手間がないなど多くのメリットがあります。しかし、その一方で、売却価格が下がる、賃貸契約の期間に制限があるなどのデメリットもあります。メリット・デメリットを理解した上で、ご家族やご自身のライフスタイルに合わせて利用すべきかどうか検討しましょう。
リースバックのメリット | リースバックのデメリット |
売却後も住み続けられる | 一般的な売却に比べて買取価格が低くなる |
ローン返済の不安がなくなる | 家賃の支払いが発生する |
固定資産税がかからない | 賃貸借契約期間に制限がある |
引っ越しの手間が省ける | 資産がなくなる |
まとまった現金が手に入る | |
老後の資金を調達できる |
リースバックのメリット
家の売却後も同じ家に住み続けることができるのは、リースバックを利用する大きなメリットと言えます。また、住宅を所有していると毎年固定資産税や都市計画税の支払いが必要ですが、リースバック利用後は税金の支払がなくなります。急にまとまった現金が必要になった場合は、リースバックを検討するのも一つの有効な方法でしょう。また、将来的に家を買い戻したい場合は、事前に「買い戻し特約」をつけておくと安心です。「買い戻し特約」は、必ず設定できるわけではありません。予め、リースバック業者に確認しておきましょう。
リースバックのデメリット
リースバックで不動産売却をする場合、一般的な不動産売却より売却査定価格が安くなる傾向があります。そのため、高値売却したい人や資金に余裕のある人にとっては、大きなデメリットとなるため注意が必要です。また、賃貸借契約の期間には制限があり、多くの場合2~3年程度とあまり長く住めません。長く住み続けたい場合は、再契約可能な業者か、普通賃貸借契約ができるリースバック業者に依頼しましょう。
まとめ
資産の新しい有効活用として注目を集めるリースバックですが、あくまで不動産売却の一つの方法です。中には悪質な業者も存在するため、トラブルになるケースも少なくありません。「こんなはずじゃなかった・・・」「トータルで見たら大損していた!」など、被害に合わないためにも、信頼できる業者であるか慎重に見極めることが重要です。大切な資産を守るためにも、リースバックの仕組みや特徴を理解してご家族と話し合いましょう。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFPⓇ認定者、証券外務員Ⅰ種
保険・金融のエキスパートとしての30年の業界経験から、相続や税務など保険以外の相談が増加。多様化する顧客の相談内容に対応するため、FP Office にファイナンシャルプランナーとして参画。複雑な事柄をわかりやすく伝える技術に定評がある。
メッセージ
時には背中を押したり、一歩引いたりしながら目指す道 を見つけて進んでいけるよう最善策を考えます。相談して解決したら終わり、ではなくその後のライフステージの変化なども共有 しながら一生のお付き合いがしたいと思っています。
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