買って損する土地ってどんな土地?いい土地と悪い土地の見極め方とは?

こんにちは、せんせーです! 本日は「買って損する土地の特徴」を5つご紹介します。
損得の基準はたくさんありますが、今回は「土地の利用可能性」と「資産価値(売却しやすさ)」という2つの観点から見た時、買ってはいけない土地をご紹介いたします。

突然ですが皆さん、「土地を買って家を建てたい」と思った時に、どのようなポイントを重視してご検討されるでしょうか。
周囲の土地と比べた時の割安さ?駅からの距離?住みやすさ? もちろん優先順位は人それぞれだと思いますが、それらを購入する大前提として、「絶対に買ってはいけない」悪い土地を避けることがとても大切です。
「ぱっと見で安かったので急いで購入したものの、思ったような建物が建てられない土地だと知って損してしまった」「自分が買うときは気にしていなかった点が想像以上にマイナスポイントだったらしく、手放すときに苦労した」という事態を避けるためにも、ぜひ今回ご紹介する5つは覚えておいてくださいね。

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目次

都市計画区域とは

さて、買ってはいけない土地の紹介に入る前に、「都市計画区域」について簡単にご説明します。

もともと高低差の多い島国であり、かつ最近は人口減少局面を迎えている日本において、むやみに家を建てたり、都市化を進めたりすることは望ましくありません。
そのため日本全国の地域は各都道府県によって、「都市計画区域」「準都市計画区域」「都市計画区域外」という3つの区分に分けられています。
その名の通り「都市計画区域」「準都市計画区域」は計画的なまちづくりを進めていくエリアであり、都市計画法や建築基準法によって、建築行為などに様々な制約が設けられています。これから紹介する最初の2つのポイントは、この都市計画区域と密接に関わっています。

(再)建築不可の土地

最初にご紹介するのは、(再)建築不可の土地です。上述した都市計画区域に関する制限の中でも、特にインパクトが大きいのがこれからご紹介する「接道義務」です。
建築基準法第43条には、都市計画区域及び準都市計画区域内で建物を建てる際、「幅員が4メートル以上の建築基準法上の道路に、間口が2メートル以上接していなくてはいけない」と定められています。
どんなに広い土地で、そこに建物を建てようと思って土地を買っても、
・全く道路に面していない土地
・道路に面していても「建築基準法の道路」ではない土地
・間口が2メートル以下の土地
には原則として建築することはできません。

「原則として」と記載したのは、接道義務を満たしていない場合であっても、「但し書き道路の許可」を得れば再建築が可能になる場合があるからです。ただ、許可申請には時間も手間もかかりますし、そもそも許可が降りることが確約されているわけではありません。そのため「広い土地がある=その分だけ良い物件」ではないことは意識しておく必要があります。土地面積は広くても、制限によって自分の思ったような物件を立てることができないという可能性は十分にあるからです。
そのため周辺の土地値と比較して明らかに割安な物件があった場合であっても、「接道義務を満たしているかどうか」を確認することをお勧めします。もし満たしていなかった場合、申請の手間や建築ができないリスクと天秤にかけた上で購入の是非を検討する必要があります。

市街化調整区域内の土地

次にご紹介するのは市街化調整区域内の土地です。
上述した「都市計画区域」ですが、その中であればどこでも都市化を進めていいわけではありません。
都市計画区域内でも、積極的に都市化を進めていく「市街化区域」と、自然環境や田園風景を守るための「市街化調整地域」に分けられています。
都市計画区域内にあるとはいえ、市街化調整区域にある土地を買ってしまうと、むしろ新しい家が建てにくい場合が多いのです。市街化調整区域はそもそも市街化を避けることを目的としたエリアであるため、インフラや交通網の整備が周辺よりも遅れている場合が多いです。

何よりも銀行のローンが通りにくいので相当の手元資金が必要となってくる場合が多く、それは逆説的に、「自分が売却するときの買い手も、相当のキャッシュを持っている人しか期待できない」ということになります。例えば駅近の物件であったり、利便性に優れた土地であったり、買い手がすぐ見つかるであろう場合を除いて、市街化調整地域の土地は避けた方が無難です。
このような話をすると、「市街化調整区域の物件なんて検討しないから大丈夫」という声も聞こえてきます。ただ調整区域は決して地方に多い話ではなく、関東圏の県庁所在地においてもかなりの割合で存在しています。例えば千葉県千葉市は都市計画区域面積が27,176haに対して市街化調整区14,294ha(52.6%)、埼玉県さいたま市は都市計画区域面積が21,749haに対して市街化調整区域が10,051ha(46.2%)と、全体の半分前後の面積が市街化調整地域に設定されています。
そのため特に意識せず検討していた一都三県の土地案件についても、市街化調整区域に該当する土地である可能性は十分にあるのです。
もちろん市街化調整地域の土地はすべて建築NGという訳ではなく、開発許可を得たり、すでに宅地利用が認められている土地において建て替えを行ったりする場合は特に懸念無く建築ができるケースもあります。ただ、市街化調整区域内であること時点で、建築に大きな制限がかかってしまうことは意識しておく必要があります。

抵当権を抹消できていない土地

3つ目の買ってはいけない土地は、「抵当権を抹消できていない土地」です。
そもそも抵当権とは、端的に言うと「お金を借りたとき、その担保として設定される権利」のことを指します。つまり「お金が返ってこなかった時は、この土地を担保にかけて」(=競売にかけて)回収する」という権利です。
通常の不動産売買においては、「売主側に定められた抵当権は買主に引き継がれない」と言う前提で進むことがほとんどです。
つまりほとんどの場合、新しい買主が物件を購入する際には売主の抵当権は抹消されて物件の引き渡しが行われます。
ただ稀に、物件の引き渡しが行われた後も売主側の抵当権が残っている場合があるので注意です。
例えば、「急に多額の現金が必要になったため、まずは売却資金を抵当権の抹消ではなく別の用途に使いたい」場合などです。
当然、抵当権というリスクを残したままの売買になるため、相場よりもかなり安い値段で入手することができる可能性はありますが、その分他人の借金を背負ってしまうという大きなリスクを孕んでいることになります。
仮に所有権の移転登記は売主から買主に正常に移っていたとしても、有事の際には抵当権による債権の回収が優先されます。つまり売主の返済が滞って抵当権が行使され、不動産が競売にかけられてしまう可能性も残っているのです。
普通の不動産業者を介しての物件購入であれば、抵当権周りのトラブルは限りなく少ないと思います。ただ個人間の売買では抵当権が残ったままで、買主不利な状態で物件を購入してしまうリスクもあります。抵当権は「不動産登記情報」を見れば分かりますので、購入を検討している物件に抵当権は付いているのか、付いている場合は確実に抹消できるのか、確認した上で購入に進むことが大切です。

境界が曖昧な土地

買ってはいけない土地の4つ目は、「境界が曖昧な土地」です。家と家や、家と道路の間に十字や矢印のマークがついたものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。それらは境界標と呼ばれ、土地の面積や境界を調べる時に使用されます。
建物を建てるとき、土地面積を元にした建蔽率や容積率によって建築面積に制限がかかります。また、隣接地に物件や木の枝などが飛び出てしまう、いわゆる越境はトラブルの元にもなります。そのため土地面積を正確に求める、そのためにも境界がはっきりしていることは、不動産売買において非常に大切なことです。
ただ、例えば代々相続されてきた土地で測量を行っておらず、隣地との境界がはっきりしない土地や、過去に境界標を立てたものの、時間の経過とともに位置がずれてしまって正確な境界が分からない土地も多く存在しています。
なお、昭和35年以降に登記された土地については、「地積測量図」と言って、一筆ごと(登記されている1つ1つごと)の面積を示した書類の作成が義務化されています。
ただ、そこには土地の形と面積しか記載されておらず、正確な境界の位置は不明瞭なことがほとんどです。また、登記の当時に測った面積であるため、地殻の動きや地震などでその位置がずれてしまっている場合もあります。
そのため、登記上の面積と実際に測量した面積に差があるのも、不動産取引ではあるあるです。
トラブルを避けるためにも、隣接地同士や、自治体との間で境界を確定する「確定測量」を実施してある土地を購入するか、測量が済んでいなくても「重要事項説明書に土地の境界について明示してある」物件を購入しましょう。

まとめ

今回は、「絶対に買ってはいけない」悪い土地を4つ紹介してきました。
これらの土地は、金額だけで見ると確かに割安で買える場合が多いです。ただ、これまで説明してきたような情報を知らずに購入すると、建築時や売却時に、結果的に損してしまう可能性が非常に高いです。不動産についての知識が豊富な場合や、ハイリスクハイリターンな物件を狙っていきたいという場合を除くと、買ってはいけない悪い土地と言えるでしょう。

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記事の監修

中井 康寛
CFP®、証券外務員Ⅰ種、証券アナリスト、国家資格キャリアコンサルタント
CFP、証券アナリストにとどまらず、キャリアやITに関しての資格も取得し顧客からの様々な相談に幅広く対応している。 プライベートでは、地方の持続可能な振興やその取り組みに積極的に関わり、日本各所を訪れている。

メッセージ
「知識のアップデート」「きめ細かなヒアリング」「分かりやすいご説明」を特に大切にしながら日々の業務にあたっています。ライフプランの作成やご相談を通じてみなさんの行動と変化のきっかけとなれれば幸いです。

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この記事を書いた人

■ペンネーム
せんせー
■不動産歴
4年半
■得意な不動産ジャンル
一棟マンション、郊外エリア
■保有資格
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、FP2級
■自己紹介
一都三県を商圏に、一棟収益マンションの売買から管理までワンストップで提供する不動産ベンチャーに、大学時インターンを含めて4年半在籍していました。その間、投資家層に対する売買営業やPMBM管理の窓口、不動産市況についてのメルマガの執筆など幅広い業務を手掛けました。2022年末に不動産業界は離れたものの、障害者支援の現場で不動産やお金についての講座を実施するなど、日々勉強と情報発信を重ねています。

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