オーナー業を始める際の注意点、損をしないために知っておくことは?

・親の所有していた戸建てが、親の死去に伴い空き家になっている。

・転勤や買い替えなどのため所有している家を空けることになった。

・戸建賃貸のオーナー業をはじめるために新築する予定がある。

・アパートやマンションを建てるほどの広い土地や資金は持っていないが、戸建を建てる土地ならある方におすすめの記事です。

目次

オーナー業を始める際の注意点

一般的に戸建賃貸は、一旦借り手がつくと長く住んでくれる場合が多いので家賃収入が安定する、と言われています。
また、敷地面積がそれほど必要ではないので、アパートやマンションなどの一棟ものを新築するよりは費用を抑制できるのも戸建賃貸経営の魅力です。
さらに、立地条件により入居者の確保が難しいことがあるアパートやマンションと比べて、戸建て賃貸は駐車場さえあれば借り手を見つけやすいと言われています。

しかし、いい話だけではありません。
戸建賃貸業を始める際には、様々な要素を考慮に入れて計画を立てなければなりません。今回は、こうした戸建賃貸を始める際の注意点や、損をしないために知っておくべきことを解説します。

もともと中古戸建を所有している場合

最小限度のリフォーム

所有している戸建を貸し出す際、最初に手を付けなければならないのは、傷んだ個所のリフォームです。
キッチンやトイレ、浴室などの水回りや壁のクロスに、長年の生活が染みついたような傷みが目立つようだと、入居を検討されている方にマイナスの印象を与えます。

これらのリフォームを最低限度に抑えて費用を少なくする工夫は、今後の賃貸経営ではとても重要なものになります。

間取り図面をそろえる

そうした事前準備が終わり、いよいよ客付けに移るときに必要なのが、間取り図面です。

今や賃貸を探す手段で最も多いのがネットでの検索です。その際に詳細な間取りを確認できないのは、入居希望者にとっては大きなデメリットになります。

もし新築の戸建賃貸物件なら、建設会社から提供される図面がすぐ入手できるでしょう。しかし、親の所有していた戸建だと、そうした図面を見つけること自体が難しいことも想定できます。
新たに図面を作るとしたら、費用をかけて専門の業者に頼まざるをえません。できればそうしたことは避けたいものです。

個別の備品・設備の扱い

また、倉庫や太陽光発電などの設備をどう扱うか、も事前に決めておかなくてはなりません。
こうした備品がアピールポイントになることも考えられます。

ローンが残っている戸建を貸し出す

まだ住宅ローンが残っている戸建を賃貸にする際は要注意です。
ローンは用途によって借りられるものが異なります。住宅ローンは自分の住まいを得るためのものであるため、戸建てを賃貸に出すことになった場合は、本来であれば事業向けのアパートローンなどに切り替えなければなりません。
しかし、「やむを得ない事情で一定期間貸し出したい」などの状況によっては、ローンを組みなおさなくて済むこともあります。その場合は金融機関に相談してみましょう。

賃貸用に戸建を新築する場合

新築の戸建を賃貸として貸し出す際に、なにより考えなければならないのは“利回り”です。
不動産投資における利回りとは、次の計算式で求められます。

表面利回り=(年間家賃収入÷物件購入価格)×100

単純にいえば、この表面利回りの数字が高ければ高いほど手元に残る収益も増えることになります。
例えば築古戸建物件を少しでも安く仕入れて、リフォーム代を抑えて賃貸に出す、というスタイルのオーナーは、この物件購入価格を少しでも低くすることにしのぎを削っているわけです。

そして新築の場合なら、ほとんどの場合ローンを組んで購入することを考えると、自己資金をいくら投じるかが利回りを増やす決め手となります。
ちなみに一般的に、ハウスメーカーで戸建賃貸物件を建築した場合の表面利回りは、およそ10~15%前後といわれています。目安としては、自己資金は初期投資額の10~30%で決めるとよいでしょう。

また、賃貸経営には表面利回りの他に、年間家賃収入から固定資産税、火災保険料、各種管理修繕費、その他手数料などを引いた額を計算に入れる“実質利回り”というものがあります。実質利回りのほうがより正確に物件の収益力を判断する指標、ということになります。

実質利回り={(年間家賃収入-年間諸費用)÷(物件購入価格-購入時の諸費用}×100

例えば、戸建の管理維持をすべて不動産会社に頼むとなると、家賃の3~5%あたり費用がかかることとなります。そこでオーナーの中には、その管理を自分で行うことで少しでも費用を抑えるようにしている方もいます。

戸建賃貸のメリットとして、アパートやマンションより管理の手間が少ない点が挙げられますので、もし本気で利回りを高めたいと考えるならば、不動産業者に頼らず自主管理という手もあるわけです。

おわりに

『戸建賃貸のオーナーになる』と決めたからには、それ相当の覚悟が必要となります。そのために自分の不動産投資に対するイメージを事前に鮮明にしておくことが、無理のない賃貸経営をする鍵となることでしょう。

記事の監修

福井 雅子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、証券外務員Ⅰ種
FP最上位資格であるFP1級と国際資格のCFPを保有。ライフプランをもとにクライアントの課題を解決することの重要性に共感して、FP Officeに参画。また金融教育の普及をライフワークとしている。豊富な知識に加えて、子育てや主婦としての経験に根差した生活感覚を合わせ持ち、わかりやすく相談者に寄り添ったコンサルティングが好評を得ている。

メッセージ
ライフプランをもとに、お一人おひとりに寄り添ったコンサルティングを心がけ、一緒に解決方法を考えていきます。 ファイナンシャルプランナーとして、お金の不安を解消することを通してクライアントの皆様が心穏やかに幸せに暮らすお手伝いをしていきたいです。

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この記事を書いた人

■ペンネーム
のーいち
■不動産歴
10年以上
■保有資格
普通自動車免許、液化石油ガス設備士、高圧ガス販売主任者
■得意な不動産ジャンル
相続関係、アパート経営、リフォーム関係、入居者トラブル
■自己紹介
現在、九州に在住。50代・妻(40代後半)と娘(高2)、そして80代の母がいます。
親から譲り受けた古いアパートの経営を10年以上経験。その間、入居者を募るため様々なトライ&エラーを繰り返しました。
またライフライン系の仕事を長年続けたことで、収益物件のオーナーや不動産業者の方々と多く接する機会があったことも財産になっていると思います。

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