相場より安くて好条件な物件の落とし穴!購入前に確認することとは?

「中古マンションの購入を検討中」
「失敗しないために事前に情報を仕入れたい・・・」

マイホームを検討する際、「新築にこだわらず中古を」と考えて情報収集するのは、とても賢い選択です。中古マンション市場は、近年、大きな注目を集めています。都市部を中心に、新築マンションの価格が上昇する中で、中古マンションは多くの人々にとって魅力的な選択肢となっています。築年数が経っているからこそ、新築マンションにはない独自の魅力や優位性を持つ物件が多いのも特徴です。価格も新築マンションより手頃な点が多くの購入者に支持されています。

その一方で、中古マンションの購入には落とし穴も存在します。
相場より安くて好条件な中古物件を見つけた時、
「なぜその物件が相場よりも安いのか?」
「何らかの問題が隠れていないか?」
という疑問が頭をよぎることもあるでしょう。実際、価格が安い理由は、一見するとわからない修繕の必要性や、周辺環境の変化、さらには管理組合の健全性など、多岐にわたります。

この記事では、中古マンション購入の魅力とともに、そのリスクや注意点について詳しく解説していきます。購入を検討している方は、ぜひ最後までお読みいただき、納得のいく物件選びをしていただければと思います。

目次

中古マンション購入のメリット

中古マンションには多くのメリットがあります。中古マンションであれば、予算や立地の選択肢が広がり、マンションの現状を実際に確認してから選べます。これにより、購入後の期待とのギャップが少なくなるでしょう。中古マンションの主なメリットを以下で説明します。

価格が安いことが多い

新築マンションの価格が高騰している現在、中古マンションの価格の手頃さが多くの人々にとって大きな魅力となっています。
中古マンションは築年数やエリアによる変動はあるものの、全体として新築よりも1〜5割安いと言われています。
20222023年9月の首都圏での新築マンション1戸あたりの平均価格は63416727万円(出典:(株)不動産経済研究所)でした。一方で、中古マンションの平均価格は40874777万円(出典:東京カンテイ)と、約2000万円も安いというデータがあります

この価格差は、一般的なサラリーマンや若いカップルにとって、決して軽視できない要素と言えるでしょう。
新築マンションの価格が高い背景には、建築コストの高騰や都心部での土地価格の上昇があります。これらの要素が販売価格に反映されるため、新築マンションは高価なものとなっています。対照的に、中古マンションは需要と供給のバランスで価格が形成されているため、相対的に安価に購入することができます。

この価格の違いは、予算が限られている人にとって、新築と中古の選択肢を比較する際の大きな要素となります。もちろん、中古マンションの価格も上昇傾向にはありますが、それでも新築マンションと比べて、明らかに手が届きやすい価格帯であることが多いです。

つまり、新築マンションが手が出ない価格である場合でも、中古マンションなら購入の選択肢が広がると言えます。このように、中古マンションは価格面でのメリットが大きく、多くの人々にとって魅力的な選択肢となっているわけです。

売主の状況次第で値下げの可能性がある

中古マンション購入の際、売主の状況に応じて価格交渉の余地が生まれることがよくあります。なぜなら、売主の特定の事情、例えば転勤や離婚などの大きなライフイベントが背景にある場合、売却のスピードを優先したいと感じることが一般的です。このような状況下では、売主自身が物件の販売を急ぐため、価格に柔軟性を持たせることが考えられます。

特に、売主が引っ越しの時期やタイムリミットを持っている場合、早期決済を求めることから、購入希望者との値引き交渉に前向きになることが期待できます。中古マンションを検討する際は不動産会社に売主の売却理由を聞いておくようにしましょう。このような状況を理解し、価格交渉の材料として活用することで、中古マンションを相場よりもお得に手に入れるチャンスを掴むことができるでしょう。

売主が個人であれば消費税がかからない

中古マンションを購入する際、売主の属性によって支払う税金が変わることを知っていますか?特に、売主が個人である場合、マンション購入の際の消費税がかかりません。しかし、もし売主が不動産会社や他の課税事業者であれば、購入価格に消費税がかかってきます。

更に、中古マンション購入の際には仲介手数料が別途必要です。具体的には、「マンションの売買代金 × 3% + 6万円 + 消費税」(売買代金が400万円を越える場合)でその金額が求まります。しかし、新築マンションの場合、仲介手数料を支払うことは稀で、消費税のみの負担となります。

総合的に考えると、仲介手数料と消費税の総額を比較した際、多くの場合、売主が個人の中古マンションが経済的に有利となります。購入の際は、売主の属性やこれらのコストを検討し、最適な選択をしてください。

希望エリアの選択肢が広がる

住みたいエリアがはっきりしている人にとって、中古マンションは希望の場所に近い物件を見つけるための良い選択肢となります。
希望エリアが決まっている場合、希望エリア内で新築マンションが販売されていなければ買うことはできません。新築マンションの場合は、自分が購入したいタイミングで希望エリア内に供給されていない場合があります。
中古マンションにも目を向けることで、より多くの選択肢が期待できます。また、予算の観点からも、希望エリアに新築で入居することが難しい場合でも、中古なら予算内での購入が可能になることもあります。中古マンションなら、希望エリアでの理想の生活を実現するチャンスが高まります。

実際の物件を確認できる

中古マンション購入の大きな利点は、物件の実態を直接目で確認できることです。新築物件では完成前の購入が一般的です。完成前の購入であれば、現地で現物を確認できません。しかし、中古ならばお部屋の日当たり、眺望、風通し、そして騒音や匂いを実際に感じることができます。

さらに、共用部分の状態、例えばエントランスや廊下・ゴミ置き場の清掃状況、外壁のコンディション、メールボックスや駐輪場の利用状況、さらに掲示板の内容から、管理組合の健全性や住民間のトラブルの有無も把握できます。

これらの実地確認から、住民のマナーやコミュニティの雰囲気、年齢層や家族構成の傾向も感じ取れるでしょう。これにより、購入後のミスマッチを減少させることができます。

そして、大規模な再開発地域や新しい高層マンション周辺では、徐々に新しいショッピング施設やレストラン、クリニックなどが増えてきます。既に形成された地域を実際に歩くことで、その生活性を具体的にイメージすることができます。

自分好みのお部屋にリノベーションできる

中古マンションの最大の魅力は、購入価格を安く抑えて、浮かせた資金で自分の好みやライフスタイルに合わせて自由にリノベーションできることにあります。新築マンションのモデルルームは、最新の設備や流行のデザインでとても魅力的に見えるものです。新築マンションのモデルルームはある意味「共通のテンプレート」であり、実際に自分の理想やニーズに完全に合致しているわけではありません。しかし、中古マンションの場合、リノベーションにより、自分だけの特別な空間を造ることができます。オリジナリティ溢れるキッチン、日常を豊かにするリビング、趣味を反映させた特別なスペースなど、自由度の高いアレンジが可能です。マイホームは生活の舞台であり、その舞台を自分らしく演出することが、本当の意味で住まいの価値を高めると言えるでしょう。「中古マンション+リノベーション」は、その豊かな可能性を秘めた選択肢となります。

中古マンション購入時の注意点

相場より安い中古マンションは、一見魅力的に感じます。しかし、相場より安い価格には必ずと言っていいほど理由があります。単純に掘り出し物か、それとも何か不都合や隠された問題があるのか。購入を検討する際には、その背後にある要因や状況を正確に理解することが極めて重要です。価格の妥当性を見極め、後悔しないために確認すべき主要な注意点をご説明します。

事故物件

いわゆる事故物件と呼ばれるものは、「心理的瑕疵物件」の一つです。心理的瑕疵物件とは、物件の物理的、機能的な瑕疵はないのですが、買主に心理的な抵抗が生じる恐れのある物件をいいます。
心理的瑕疵に該当する例として、殺人・自殺・事故死・孤独死など人の死に関わることや、火災・反社会的勢力の事務所や犯罪拠点としての利用履歴、風俗店としての利用履歴など、一般の方にとって「住み心地の良さ」を欠くことが、心理的瑕疵に該当するとされています(出典:国土交通省 心理的瑕疵に係る検討の方向性(案

物件情報サイトや図面に「告知事項あり」と書かれている場合、その物件は心理的瑕疵物件の可能性が高いです。
宅地建物取引業法に基づき、不動産会社は心理的瑕疵の情報を公開する義務があるものの、心理的瑕疵かどうかの具体的な基準は存在しないため、取り扱いにばらつきが見られることもあります。
事故物件と知らずに買うことが無いように以下に注意しましょう。

価格が不自然に安くないか


価格が相場よりも安い場合は、心理的瑕疵物件である可能性があります。

不動産会社に確認する

不動産会社の担当者にストレートに確認します。買おうとしている部屋だけでなく、マンション全体で過去に事件や事故等が無かったか聞いてください。不動産会社から売主さんにも確認してもらうようにしましょう。

ネットで調べる

事故物件の情報提供サイト「大島てる」で調べてみましょう。サイトの検索バーに住所を入力すると地図上に結果が表示されます。事故物件の場合は、建物上に炎のマークが付いています。炎のマークをクリックすると事件事故の内容等の情報を確認できます。

聞き込みをする

マンションの管理人さんやマンションの住民、マンション周辺の住民に聞いてみましょう。ハードルが高く感じられるかもしれませんが、購入検討者であることを伝えると案外丁寧に教えてもらえます。また、近くの交番で警察官に聞いてみるのもありです。人と話すことで街の雰囲気や周辺情報も得られるのでおすすめです。

重要事項調査報告書を確認する

マンションの管理会社が作成している「重要事項調査報告書」という書類があるので、不動産会社からもらって確認しましょう。不動産会社が契約前に作成する「重要事項説明書」とは違う書類です。重要事項調査報告書には、マンションの管理に関する情報が記載されています。ごく稀にマンション内での事故について書かれている場合があるため、確認しましょう。

土地の権利が定期借地権のマンション

マンション購入を考える際、土地の権利が「定期借地権」であることがあります。一般的なマンションでは、土地と建物の所有権を一緒に取得しますが、定期借地権の場合は、建物のみを購入し、土地は賃貸となります。この「定期」という言葉からもわかるように、借地には期間が設定されており、その期間終了時には建物を解体し、土地を元通りに返す必要が出てきます。結果として、そのマンションに住み続けることができなくなります。

定期借地権のマンションの大きな特徴として、所有権のマンションよりも購入価格が安くなることが多いです。しかし、それには理由があり、資産価値が低いこと、土地の借地期間が短くなると売却が難しくなること、さらに、土地の賃料や建物の解体に必要な資金積立があるため、維持費が高くなることが挙げられます。

価格が割安であるというメリットだけで判断して飛びつくと、長期的に見てリスクとコストが増大する可能性があります。この点をよく考慮し、全体のコストとリスクを評価してから購入の決定を行いましょう。

旧耐震基準、旧旧耐震基準のマンション

旧耐震基準、旧旧耐震基準のマンションには注意が必要です。耐震基準とは、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す基準です。過去2回基準が変わっていて、「新耐震基準」「旧耐震基準」「旧旧耐震基準」と3つに分けることができます。
・旧旧耐震基準:1971年(昭和46年)6月16日まで
・旧耐震基準:1981年(昭和56年)5月31日まで
・新耐震基準:1981年(昭和56年)6月1日以降
マンションを購入する場合は、どの耐震基準なのかを確認するようにしましょう。どの耐震基準なのかを確認するには、建物が完成した竣工年ではなく、建築確認済証の交付日で判断します。
マンションは完成するまで一定期間がかかるので、1982年竣工であっても建築確認済証の交付日が1981年(昭和56年)5月31日以前であれば旧耐震基準の物件となるからです。不動産会社や行政機関(建築確認台帳記載事項証明書)で必ず確認しましょう。
旧耐震基準、旧旧耐震基準のマンションでも内装をフルリノベーションして新築同様の見た目になっているものがあります。
旧耐震基準、旧旧耐震基準のマンションを選ぶ際には、耐震性のチェックは必須と言えます。耐震性の確認方法としては、不動産会社に耐震診断が実施されているかどうかを問い合わせましょう。耐震診断が実施されておらず、耐震性が確認できない物件であれば、割安で内装がキレイでも見送るのが賢明です。

長期修繕計画がないマンションや資金不足なマンション

長期修繕計画の有無は必ず確認しましょう。マンションは、10年〜12年の周期で大規模修繕工事が必要になります。大規模修繕工事には多額の工事費用がかかる為、管理組合が長期の大規模修繕計画を作成して、いつ・何の工事に・どのくらいの費用が必要になりそうかを見込んでいます。そして、長期修繕計画を根拠に、区分所有者から毎月徴収する修繕積立金が決まっています。
長期修繕計画が無いようなマンションでは、場当たり的に工事が実施されたり、適切な修繕積立金が徴収されていないために急な一時金請求を求められる可能性があります。管理組合が機能不全になっている可能性も高く、住んでからトラブルが大いに懸念されます。
長期修繕計画を見れば、修繕積立金の段階的な値上げが予定されているかどうかや、計画通りに大規模修繕工事が実施されているかなどを確認できます。大規模修繕工事の実施が遅れている場合は、理由まで確認が必要です。資金不足が理由であれば、今後、修繕積立金の大幅な値上げや一時金の請求、借入などが発生する可能性が高くなります。借入で賄う場合も、修繕積立金の値上げに繋がります。
長期修繕計画は不動産会社に確認するようにしましょう。

建て替えの可能性がある

築年数が古いマンションの場合、建て替えの検討をしていないか確認しましょう。
築古のマンションを割安で購入しても、その後、建て替えのため多額の費用を負担することになるケースもあります。
耐震化されていない築年数の古いマンションを耐震化しようとすると、高額な費用がかかります。耐震化工事+大規模修繕工事の費用は、建て替え工事とあまり変わらない場合があります。
実際に建て替えをする場合の費用負担の目安は次のようになります。
・建て替え前後でマンションの面積が3倍になる場合・・・所有者負担なし
・建て替え前後でマンションの面積が2倍になる場合・・・戸あたり500万円〜1000万円
・建て替え前後でマンションの面積が同じくらいの場合・・・戸あたり2000万円
所有者負担なしで建て替えができるケースは、かなり好条件に恵まれた場合になります。
築年数が古いマンションを検討する場合は、建て替えなども想定して検討するようにしましょう。

まとめ

近年、都市部を中心に新築マンションの価格が上昇しており、中古マンションの購入は多くの人々にとって魅力的な選択肢として浮上しています。中古マンションには、手頃な価格や、独特の物件の魅力を享受できるというメリットが数多く存在します。特に、立地の選択肢が広がることや、実際の物件を前もって確認できる点は、新築では得られない利点と言えるでしょう。

しかし、中古マンション購入にはいくつかの注意点も伴います。耐震基準については、特に旧旧耐震基準の物件には注意が必要です。これらの物件は、新耐震基準に比べて耐震性に問題がある可能性が高く、安全性に関する懸念が生じることが考えられます。また、管理組合の健全性や長期修繕計画の有無も重要です。十分な修繕計画や資金計画がないと、将来的な大きな修繕費用が発生するリスクが考えられます。

さらに、事故物件にも注意が必要です。過去の事件や事故の情報は、物件価格に大きく影響を与えることがあり、再販時の価格低下や居住時の心理的な不安が伴う可能性があります。加えて、築年数が長い物件では、建て替えの検討や、その際の費用負担が必要になることも視野に入れるべきです。

総じて、中古マンション購入の際には、これらのリスクをしっかりと理解し、十分な情報収集と確認を行うことが大切です。信頼できる不動産業者や専門家と連携し、物件の選定や購入を慎重に進めることで、安心して中古マンションを手に入れることができるでしょう。

記事の監修

草間 栄治
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 、CFP®、証券外務員Ⅰ種、2級DCプランナー
日本商工会議所簿記検定試験2級
FP国際資格の最上位CFPを26歳で取得。 その後、FP1級、DCプランナー2級を取得。 専門家として、保障設計だけでなく、資産運用、住宅、教育資金など様々なお金の問題に関わる必要があると感じ、ファイナンシャルプランナーに。 趣味は筋トレ。ベンチプレス112.5Kg。

メッセージ
「人生100年時代、お金に困らないように」です。 そのため、ライフプランニングから課題解決へ導く際は、順調な人生の時はもちろん不測の事態が発生したとしても皆さまが望むライフプランの達成にむけたアドバイスをしていきます。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

■ペンネーム
ヒロセ
■不動産歴
5年
■得意な不動産ジャンル
投資用不動産、区分マンション
■保有資格
宅地建物取引士、貸金業取扱主任者、日商簿記3級
■自己紹介
東証プライム上場の宅建業者に従事。売買仲介やテナントリーシング、不動産の仕入れ、企画業務を経験。投資用不動産や区分マンションに関する知識は特に豊富です。宅地建物取引士、貸金業取扱主任者、日商簿記3級の資格も持っています。知識と経験を活かし、読者に有益な情報提供を心がけています。

目次