戸建てを買う前に確認したい!型式適合認定のメリットとデメリットとは?

「型式適合認定」について、みなさんはどのくらいご存じでしょうか。あまり聞いたことがない方が多いと思いますが、「型式適合認定」で建てた家かどうかは、戸建て住宅を購入後、また、注文住宅を建てた後に、非常に重要なポイントとなってくるので注意が必要です。そこで、宅地建物取引士で戸建て住宅の販売の経験がある筆者が、これから戸建て住宅を購入する方や、注文住宅を建てる方向けに「型式適合認定」の内容や、そのメリット、デメリットについて解説します。後悔しないためにも、戸建て住宅を買う前に、その内容や注意点等を理解していただければと思います。

目次

型式適合認定とは

「型式適合認定」とは、同一の型式で量産される建築設備や、標準的な仕様書で建設される住宅などの型式について、建築基準法の構造、防火、設備及び一般構造にわたる幅広い規定に適合していることを予め認定するものです。
簡単に言うと、住宅の材料や構造などについて事前に認定を受けることによって、個々の住宅の建築確認や検査などを不要にすることができる制度です。
つまり、同じ部材、同じ作り方をしているから個々の建物を詳しく調査しなくても問題ないですよね」という制度です。
特に大手ハウスメーカーは、型式適合認定を受けている住宅が非常に多いです。逆に、小さな工務店の全てや中規模の住宅メーカーのほとんどは、この認定を受けていません。この認定を受ける手続きが大変だという面もありますが、中小の会社には建築確認申請を簡略化するスケールメリットがないことも理由と言えます。

型式適合認定のメリット

工期が短縮できる


「型式適合認定」の場合、前述の通り建築確認申請時に必要となる書類作成や作成された書類の審査する手間を省略できるので、結果として工期を短縮することが可能となります。また、書類作成や書類の審査が省略されるため、そのための時間と費用(特に人的コスト)を大幅に削減することが可能となるなど大きなメリットがあります。

他社との差別化、ブランド化につながる

「型式適合認定」はいわゆる特許のようなものです。型式適合認定を受けることにより自社独 自のオリジナルの工法になります。型式適合認定を取得することで他社との差別化ができ、ブランド化につながるというメリットがあります。
以上これらが「型式適合認定」のメリットとなります。このようにいずれのメリットもハウスメーカーなどの施工会社にとってのメリットであり、残念ながら購入者にとっての 直接のメリットはないというのが現状です。

型式適合認定のデメリット

大規模なリフォームができない

「型式適合認定」で建てられた家のデメリットは、リフォーム、リノベーションや増改築を行う際、家を建てた依頼先のハウスメーカーなどの施工会社を通さないと大規模なリフォームやリノベーションを行うことができないことにあります。
また、価格の比較もできず、ただ家を建てた依頼先のハウスメーカーなどの施工会社が提示した金額で工事をするしかありません。つまりリフォーム費用など建築費の値下げ交渉をすることが難しいということになります。

なぜそのようになってしまうのか。
「型式適合認定」で建てられた家は、建築を依頼したハウスメーカーなどの施工会社以外で構造計算などを行うことができないのです。
ひいては別の施工会社がリフォームをしようとしても建築確認許可が下りません。構造計算などは各ハウスメーカー等が企業秘密といってデータを表に出すことはありません。
独自の部材や工法を用いた設計となってしまっているため、一般的に広く使われている設計とは異なり、構造のチェックが難しいというデにメリットがあります。
つまりは、型式適合認定で家を建てた場合は建てた後以降も建築を依頼したハウスメーカーなどの施工会社以外に事実上囲い込まれてしまうということになります。
すなわち、競合する相手がいなくなり、独占状態になりますので、リフォームやリノベーションにかかる費用が高く見積もられてしまう可能性が出てきます。

新築時に依頼したハウスメーカー等にリフォームなどを依頼するのであればまだ良いですが、中古で住宅を買った場合などは、今まで全く接点のなかったハウスメーカーなどにリフォームなどを依頼せざるを得なくなります。良く考えるとすごく怖いことだと思います。

まとめ

「型式適合認定」の内容や、メリットとデメリットについて見てきました。前述の通り「型式適合認定」は工期が短縮できることや建物のブランド化が図れるなど、ハウスメーカーなどの施工会社にとってのメリットは大きいですが、残念ながら購入者にとってのメリットはありません。
また、購入者にとっては「型式適合認定」で建てた家は、リフォーム、リノベーションや増改築を行う際にいろんな面で制約が生じる等の大きなデメリットが存在します。今回の記事を参考に、それらの注意点を考慮したうえで、後悔のないよう、戸建て住宅の購入や注文住宅の建築を進めていただければと思います。

記事の監修

草間 栄治
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 、CFP®、証券外務員Ⅰ種、2級DCプランナー
日本商工会議所簿記検定試験2級
FP国際資格の最上位CFPを26歳で取得。 その後、FP1級、DCプランナー2級を取得。 専門家として、保障設計だけでなく、資産運用、住宅、教育資金など様々なお金の問題に関わる必要があると感じ、ファイナンシャルプランナーに。 趣味は筋トレ。ベンチプレス112.5Kg。

メッセージ
「人生100年時代、お金に困らないように」です。 そのため、ライフプランニングから課題解決へ導く際は、順調な人生の時はもちろん不測の事態が発生したとしても皆さまが望むライフプランの達成にむけたアドバイスをしていきます。

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この記事を書いた人

■ペンネーム
ムウ
■不動産歴  
14年
■保有資格 
宅地建物取引士、FP2級
■得意な不動産ジャンル 
不動産販売(土地、建物)
■自己紹介
副業Webライターです。
本業は一般財団法人の総務部門で総務全般業務を行っております。
大学を卒業後、大手不動産会社の営業を経て、現在の職に就いています。
大手不動産会社に14年間勤務し宅地建物取引士、FP2級の資格を取得済みです。不動産会社では、住宅、マンション、土地等の販売や大型店舗、アパートの管理業務等を行っていました。このように販売から管理まで不動産業において幅広い業務経験があります。

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