2023年10月の住宅ローンの金利動向についてですが、変動金利については史上最低金利を維持していますが、10年固定と35年固定については多くの金融機関が金利を引き上げている状態となっています。
これは市場金利の10年国債の金利の上昇傾向の影響を受けて上昇したもですが、このような流れはまだ続くものと考えられており、住宅ローン金利ががこれ以上、上昇する前にローンの借り換えを検討するのも賢い選択の一つと言えます。
そこで、ファイナンシャルプランナーで宅地建物取引士である筆者が、すでに住宅ローンを組んでいる方向けに、住宅ローンの借り換えのメリットと注意点を解説します。
住宅ローンを借り換へのメリット
住宅ローンを借り換える主なメリットは以下の通りです。
ローンの総返済額を減らすことができる
やはり借り換えの一番のメリットは、過去に借りた高い金利の住宅ローンを低い金利の住宅ローンに借換えることで、金利の支払いが軽減され、総返済額を減らすことができることです。
このような借換えメリットは、借換え前と後のローンの金利差が大きいほど、残高が多いほど、借換え前の返済期間が長いほど、大きくなります。
一般的には以下の条件をすべて満たした場合に借り換えによるメリットが発生すると言われています。
・現在借り入れている住宅ローンと借り換え先の金利差が年1%以上ある
・借入残高が1,000万円以上ある
・残りの返済期間が10年以上ある
月々の支払い負担が減る
借り換えによって返済総額が減りますので、毎月の返済負担を減らすことも可能となります。将来的に多く資金を手元に残せるだけでなく、毎月の支出を減らすことが可能となりますので、これからの家計の負担も軽減することができます。
返済期間を短くすることができる
借り換えによって返済総額が減りますので、借り換えで新たに借り入れる住宅ローンの返済期間を現在のローンよりも短くすることができます。
返済期間が短ければ短いほど金利負担の総額は少なくなりますので、期間を短くすれば更に金利の負担を減らせることが可能となります。当初の予定よりも早く完済することができるため、心理的な負担を減らすことができます。
団体信用生命保険の保障を充実させることができる
団体信用生命保険とは、住宅ローンを契約する際に加入する必要がある生命保険です。住宅ローンの契約者が、死亡もしくは高度障害状態となった場合に、生命保険会社が住宅ローンの契約者に代わって住宅ローンの残高を全額支払うというものです。
最近はさまざまな銀行ががん保障や全疾病保障が無料で付いているローンを提供しています。また、0.1%程度の低い金利の上乗せでさまざまな疾病保障付き団体信用生命保険を提供するなど、金利のメリットを得るだけでなく、団体信用生命保険を充実させる目的で借り換える人が増えてきています。
住宅ローンを借り換への注意点
新たに借りる住宅ローンによっては、事務手数料などの諸費用がかかることで、借り換えのメリットを得られないことがあります。借り換えることで、かえって支払総額が増えてしまうことも考えられますので注意が必要です。
借り換えの際の主な注意点は、以下の通りとなります。
手数料などの諸費用がかかる
新規に住宅ローンを借りる際には、事務手数料や抵当権設定費用などの諸費用がかかります。同様に借り換えの際にも新たに住宅ローンの諸費用、また、返済中の住宅ローンを一括返済する際には諸費用がかかります。諸費用の額は借入金額や残りの年数、借入先によって違ってきますが、50万~70万円程度が目安となります。
契約・審査を再度行わなければならない
借り換えをするということは、住宅ローンを新たに契約することになるため、借り換え先の金融機関等で再度、審査を受ける必要があります。
必要な書類を準備してさまざまな審査を受け、今借りているローンの金融機関との調整などもあり、非常に手間がかかります。
また、以前の住宅ローンの審査に通ったからと言っても、借り換え審査に必ず通るというわけではありません。
前の住宅ローンの返済状況や現在の収入・家族構成・職業などによっては審査が通らない可能性もあります。
住宅ローン控除額が減る可能性も
住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、住宅ローン控除を受けることができます。購入時期や建てた住宅の性能によって控除を受ける期間や上限額等に差が出てきますが、原則、入居した年から10年間または13年間、年末のローンの残高の1%が税金から控除されます。
しかし、住宅ローンの借り換えを行う際には、借り入れ金額や返済期間の条件によって住宅ローン控除の額が減ってしまう可能性があります。また、借り換え後に10年以上の返済期間が無い場合には控除を受けられなくなってしまいます。
まとめ
住宅ローンの借り換えのメリットと注意点を解説しました。
日本において住宅ローン金利は上昇傾向にあるものの、欧米諸国と比較してまだまだ低い水準にあり、借り換えをするには良いタイミングと言えます。
借入条件によっては大きなメリットとなる可能性もありますので、是非検討して頂ければと思います。
新倉 摩耶
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、証券外務員Ⅰ種
住宅ローンセンターにて住宅ローンを専門としていた経歴があり幅広い世代から定評がある。子育て世帯への資産運用相談の他、不動産・相続が得意。
メッセージ
おひとり、おひとりの出口を探していくお手伝いをしたいと思っています。時には背中を押したり、一歩引いたりしながら目指す道 を見つけて進んでいけるよう最善策を考え、相談して解決したら終わり、ではなくその後のライフステージの変化なども共有 しながら一生のお付き合いがしたいと思っています。