定年後に残った住宅ローンを退職金をあてにしない方法で返済するには?

定年退職後の住宅ローンの残債に頭を抱えている人は少なくないでしょう。しかし、何を基準にして返済を考えたらいいのか迷っていたら、一緒に考えてみましょう。限られた大切な資産を守りながら、適した返済方法を絞り込んでいきます。

目次

お住まいの住宅のリスクの見直し

定年後も残る住宅ローンは、限られた資金の中で生活する第二の人生において、最大のストレスとも言えるでしょう。その支払い方法を再検討することは重要です。しかし、その前に住宅の抱えているリスクを見直し住宅の安全性を担保することも同じように大切です。昨今の世界的な異常気象の中では、いつどこに線状降水帯が発生したり内水氾濫が起きたりするか予測できません。大切な資産の保全のためになすべきことを考えていきましょう。

ハザードマップで地域の危険性の最新情報を確認

自治体提供のものや、*1“pasobo“などのサイトの活用もお勧めします。高台に立って住宅周りの地形の確認なども必須でしょう。
*1 株式会社KOKUAが運営しているパーソナル防災サービス。

災害保険の補償内容の再確認

契約が実損払いの場合でも、限度額の設定がされていたりするので細かな確認が必要です。また、公的支援制度の*2災者生活再建支援制度の利用を考えて水害特約を付帯しない場合もあるようですが、この制度は基準も審査も細かくなっていますので、これだけをあてにするのは不十分と考えられます。特に半壊の場合は補償内容に幅が出ますので付帯することをお勧めします。
*2災害により住宅が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して、住宅の被害程度に応じて支援金(最大300万円)が支給されるもの。

ハザードマップを参考にした防災、減災への手立て

住宅の弱点に対して防災グッズを用意したり、DIYで弱点の補強をしたりするのも良いでしょう。

居住可能年数の見直し

もう何年住み続けていくのか、あるいは住み続けられるのか、今後(第二の人生)の人生設計もしておくと良いでしょう。

住宅外の環境の見直し(買い物、交通等の利便性
スーパーマーケットまでの距離や、駅近・徒歩圏などの生活環境に関する利便性はこれからの生活の障害とはならないか。

住宅内の環境の見直し(動線、ユニバーサルデザイン、バリアフリー等)
生活動線に有益なセンサー式のライトや蛇口、手すりや段差などこれからの生活に優しい仕様になっているか。

これからの住まい方
今後の維持費の見積もり。リフォーム(が必要となった場合)の予算の見積もり。また、サービス付き高齢者向け住宅などへの入居を希望している場合は予算の見積もり。そして、それらの資金の確保。
などを今一度、点検してみてください。

今後の住宅ローンの返済方法

上記の見直しにより、手放すことを考えるならば、資産価値のあるうちに住替えや賃貸への移行。離れている親や子供との同居。あるいは再建を検討してみてはいかがでしょう。また、リフォームで対応できるのならばリフォームを。リフォーム資金が不足する場合は、後述の金利の見直しや借換えなどから捻出してもいいでしょう。
では、それでも返済して大丈夫となった場合、以下の項目に着目して考えていきます。

老後資金2,000万円問題

老後資金2,000万円問題について
近年、何かと取り沙汰される*3老後資金2,000万円問題ですが、公表された当時は大問題となりました。しかし、あくまで目安ですので固執する必要はないかと思われます。ただ、一般的には1,500万円から2,000万円の資金は確保しておいたほうがいいと言われています。
*3 2019年に金融庁が公表した、金融審議会のワーキンググループによる老後資金必要額。

金利の見直し

退職金返済を行わない場合でも、低金利への借換えやボーナス加算の見直し、一部資金の内入れや繰り上げ返済で、毎月の返済額(軽減)や返済期間(短縮)を変更して完済を目指すことができます。この場合返済方法の変更に係る手数料の発生や住宅借入金等特別控除を受けている場合は一定の要件があります。
新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。
新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。
これらの確認が必要です。(参照:国税庁HP)

早期定年退職や失業による想定外の事象の発生

早期定年退職や失業により、借換えやボーナス加算の見直しをしても返済が厳しくなる場合は、リースバックやリバースモーゲージを利用する方法もあります。
リースバック(所有権の移転あり)
自宅を売却し売却代金で住宅ローンを一括返済します。そして、賃貸でそのまま自宅に住み続ける方法です。不動産会社やファイナンス会社などが実施しています。
リバースモーゲージ(所有権の移転なし)
自宅を担保に生活資金の融資を受け借入人が死亡したときに担保物件を売却し、返済をする方法です。各都道府県の社会福祉協議会や金融機関が取扱いをしています。どこのリバースモーゲージを利用するかによって、その内容が違ってきますので条件や使途に合った商品を選ぶことが大切です。

まとめ

これからの時代は、不確実要素の多い中、自己責任において自身の資産と身体の安全を守って生きていくことになります。住宅ローンを完済しても災害で喪失してしまっては身も蓋もありません。また、変動金利もいつまでこの水準が続くのかわかりません。居住環境の変化や経済情勢などを鑑み住宅ローンの返済についても、災害保険の更新のタイミング等での見直し(再検討)することをお勧めします。限りある老後資金を守るために、トータルバランスを考えて、検討してみましょう。

記事の監修

森 幸江
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、証券外務員Ⅰ種
子育て世代からシニア世代まで、1,000件以上の相談業務経験あり。資産運用全般についてのアドバイスが得意。お金にかかわること全てのことをどの世代にも分かりやすく話すのをモットーにしている。 小学校にて、金融教育の授業を行っており、日本のリテラシー向上の為、日々活動している。

メッセージ
資産形成・資産運用のアドバイスをすることが得意で、クライアントが安心して人生を送ることができるようお手伝いをしています。私自身も子育て、介護、相続の経験をしたことから、様々な世代のクライアントの立場に立ったアドバイスができると自負しております。ライフプランを一緒に考え、長期的な視点でサポートいたします。 また、子供達への金融教育の普及に尽力しており、小学校にて授業をさせていただいています。 

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この記事を書いた人

■ペンネーム
清水 コウ
■不動産歴
5年
■保有資格
FP2級、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー2級
■得意な不動産ジャンル
住宅性能
■自己紹介
2008年、住宅ローンを借りて自宅を新築しましたが、わけあって建て替えを検討中です。15年の間の変化は大きいので猛スピードで知識をアップデートしています。その知識が少しでも皆様のお役に立てばと思っています。そして、この勢いでFP1級を目指しています。

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