憧れの家づくりといえば、人生最大の大きな買い物であり、その上、何度も経験することのないものですから、失敗しないよう、損をしないよう、情報収集に励まれている方も多いと思います。
大きな買い物だからこそ納得がいくように作りたいという気持ちになり、金銭感覚が麻痺しがちですが、当初の予定より大幅に予算をオーバーするのはオススメしません。今回は注文住宅において、お金をかけるべき場所を解説したいと思います。ぜひとも、予算計画や調整の参考にしてみてください。
費用を掛けるべき箇所
家づくりの費用のかけ方として重要となるのが、目に見える部分ではなく、建てた後に隠れてしまう部分に重きを置くという考え方です。言い換えると、「建築後に変更できない箇所、変更するとしても多額の費用が掛かる箇所」に重きを置くということです。
例えば、「構造材、断熱材、サッシ、外壁・屋根材」などが該当します。外壁材や屋根材の色などは多少見た目にも影響が出ますが、基本的に普段の生活ではあまり意識をしない部分です。しかし、家で過ごす上で、これらの部材は快適性に直結するのが特徴です。
安全性でいえば、耐震性や耐久性といった主要構造部は、住宅の安全に係るところなのでコストカットをすべきではありません。耐久性が求められる外壁や屋根に関しては、メンテナンスにかかるランニングコストに大きな差が出る場合もあります。多くの方は建築当初のイニシャルコストは気にしますが、生活し始めてかかるランニングコストは、住宅ローンを払いながらでも何とかなると考えがちなので、注意が必要です。
次に、住む人の健康に直接関わるのが、暑さや寒さといった快適性です。特に家が「暑い」「寒い」というのは、住んでから分かることも多く、こんなはずではなかったと感じる失敗の上位項目なので、断熱材や窓サッシなどにもしっかりと予算をかけることを推奨します。
樹脂サッシを基準とし、ダブルもしくはトリプルガラスの断熱窓を採用すれば、家全体の断熱性能が向上します。「窓から始まる家づくり」という言葉もあるようにで、重要なポイントとなります。
住宅の性能が決まった上で次に考えるのは内装です。
優先順位をつける
予算を割くポイントは「家族みんなが多くの時間を過ごす場所、毎日必ず使う場所」です。つまり、屋根裏部屋や床下収納など使用頻度が比較的低いものは優先順位をさげるべきです。リビングの床など、直接肌に触れる機会が多く、家族が集まる共有部分については、無垢材を使うなどのこだわりをいれてもよい部分です。一方で、生活のしやすさという観点では、収納場所や、電気コンセントの位置や数にもこだわることで、動線がスムーズになり、作業効率の向上や、ストレス軽減にもつながります。
お金のかけさきについて上述しましたが、内装の決定については、ハウスメーカーや工務店等の建築会社により選択肢が大きくかわるケースもありますので、注意が必要です。
例えば無垢材のフローリングを使いたい場合、ハウスメーカーは選択肢が限られている規格型の住宅提案をされることもあります。無垢材は合板のフローリングに比べて工事の手間がかかる上、天然素材は反ったり縮んだりするため、クレームにつながりやすいということもあり、無垢材を避けたがる場合もあります。逆に工務店はフルオーダーで検討できる柔軟な選択肢を持っているケースもあり、使用する部材によっては合板のフローリングよりも、無垢材の方がリーズナブルなケースもあります。家庭内でも優先順位をしっかり決めることが重要となります。
注意すべきポイントとして、住宅設備というものがあります。住宅設備は、主に給湯器や食洗機など、常時稼働する可能性が高いものであり、家電と同様、10〜15年周期で故障する可能性が高いです。定期的な買い替えを前提で考えるのであれば、大きなお金を動かす新築のタイミングで、こうした消耗品に高額な予算をかける必要はありません。ただし、共働きで子育てをされているような家庭においては、時短にポイントを置いて設備を選ぶことも有効です。
まとめ
さて、今回は注文住宅で「お金をかけるべき場所」というテーマで優先順位についてお伝えしましたが、「住み心地を優先したい」「おしゃれな家に住みたい」など、人によって家に求めるものは異なるため、正解はありません。注文住宅を建てるときには部分別にかけられる費用を考えながら、何を優先すべきかを同居予定者間でしっかりと話し合い、予算を決めることが大切です。また、住宅資金を検討し始める段階で、資金計画のプロであるファイナンシャルプランナーに相談してみるというのも、選択肢の一つです
渥美 功介
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、証券外務員Ⅱ種
一般社団法人未来家計研究所の代表理事を兼任し、大学との共同研究や金融教育にも従事。執筆、セミナー講師の他、大学での講義も行う。 FPとしてのモットーは”人生に寄り添う”相談役になること。
メッセージ
普段人には話せないような深い悩みを話して頂き、将来の働き方まで一緒に考える。 そして”肩の荷がすっと下りて、気持ちが楽になる”、これくらいの満足度が得られるようなパートナーになることが FPとしてのゴールの一つではないかと考えています。 いろんな悩みについて、お気軽にご相談ください。