不動産ローン審査に通りたい!審査を通すための方法を不動産のプロが解説!

不動産投資を始める際には、ほとんどの方が不動産ローン(不動産投資ローン)を利用しますが、内容をよく知らないという方が多いと思います。
この記事では、住宅ローンとの違い、審査基準、審査を通すために知っておくべきことや対策などについてわかりやすく解説します。

目次

不動産ローンと住宅ローンの違い

不動産ローンと住宅ローンは同じ内容であると考えてしまいがちですが、両者には大きな違いがあります。この章では、不動産ローンと住宅ローンの違いについて解説します。

購入目的の違い

ひとつめは、購入目的の違いです。住宅ローンは、自分が住むための物件を購入する目的で組むローンです。これに対し不動産ローンは、家賃収入を得る目的の収益用物件(アパート・マンション)を購入することを目的として金融機関から融資を受けるローンのことをいいます。

金利の違い

二つめは、金利の違いです。住宅ローンは、給与収入などから返済をします。
平均的な金利は年利0.5%から2.0%で、返済期間は35年など長期での返済が可能です。不動産ローンは、家賃収入から返済をします。空室リスクや家賃滞納リスクなどもあるため、年利1.5%から4.5%と、住宅ローンよりも高い金利となります。

審査基準の違い

三つめは審査基準の違いです。住宅ローンは自分が住む目的で購入するため、申込者の属性が重視されます。不動産ローンでは、属性に加えて不動産物件の収益性や資産価値、賃貸経営事業者としての信頼性などが重視されます。

不動産ローンの審査項目

不動産ローンの審査項目にはどのようなものがあるのでしょうか?この章では、審査項目について詳しく解説します。

申込者の属性と信用情報

金融機関によって基準は異なりますが、以下の点について審査されます。
・勤務先の安全性
・勤続年数
・雇用形態
・収入に対する返済額の割合である「返済負担率」の数値
・過去の返済履歴
・他の金融機関からの借入やローンの状況
・年齢から見た「完済時年齢」
・資産状況
など

不動産物件の収益性

金融機関は事業計画や各種資料などから以下の内容を審査します。
・物件の実質利回り(年間の家賃収入から管理費や税金などの諸経費を引いた金額を購入額で割った数値のこと)の高さ
・耐用年数の長さ(重量鉄骨やRC造の建物構造は耐用年数が長く担保価値が高い)
・競合物件の多さ
など

不動産物件の資産価値

融資する物件がローン返済に相当する資産価値があるか審査をします。
・公示価格、路線価、固定資産税評価額などから算出した物件の資産価値
・人気のエリアである
・交通の便が良い
・周辺環境が充実している
・災害のリスクが低い
・新耐震基準を満たしている
などです。

賃貸経営事業者としての信頼性

賃貸経営は事業ですので、事業者としての誠実な振る舞いや経営計画が審査されます。これまでに賃貸経営の実績があり、順調に経営をしている場合は審査では有利となります。

審査に通らないケースとは?

この章では、不動産ローンの審査に通らないケースにはどの様なものがあるのかを解説します。

収入や手持ちの自己資金が少ない

審査に通りやすい一般的な年収の基準は、年収700万円以上と言われています。
また、自己資金の基準は物件価格の2割から3割程度が必要ですと言われています。

家賃収入から返済するのが理想ですが、安定した給与収入や手持ちの自己資金が少ないと、予想外の修繕や空室が長期化した場合に返済が滞ってしまうリスクが高いためです。

勤務先の勤続年数が短く職種が不安定

源泉徴収票や確定申告などの数値から審査されます。
年収が不安定な業種や職種、インセンティブの割合が多い営業職などは収入が不安定であるとみなされる傾向にあります。
勤続年数は最低でも2~3年以上は必要と考えてよいでしょう。

物件が耐用年数を超えている

耐用年数は木造、RC造など、建物の構造によって異なります。耐用年数を超える物件は資産価値がないと評価されます。
物件を選定する際には、収益性だけでなく、構造や築年数の確認も重要なポイントです。

既存の借入れが多い

既存ローンの借入れ先や借入額が多いと、年収が高くてもリスクが高いと判断されるため、滞納が無くても金融機関の審査に通らない可能性が高くなります。

融資年数に対する年齢が高い

融資年齢に対して年齢が高い場合、定年退職などによって将来の収入が減る可能性が高くなるため、長期のローンを組むことが難しくなります。

不動産ローンの審査に通るための対策

この章では、不動産ローンの審査に通るに行っておくべき対策を5つ紹介します。試せることから始めてみましょう。

使用していないカードの解約をするか限度額を下げる

使用していなくても、カードを複数枚持っていることで利用残高が多く返済が滞るリスクが高まるため、属性が下がってしまいます。
不要なカードを解約するか、限度額を下げましょう。

自己資金を増やす

一般的には物件価格の2割以上の頭金を自己資金で用意できれば審査は通りやすいと言われていますが、できれば3割以上の資金を用意しておきましょう。
頭金の金額を増やすことでローンの借入額を減らすことができる為、その分審査は通りやすくなります。

他で利用しているローンを見直す

現在、他から借りているローンを見直すことも必要です。
ローンの借り換えをして金利を抑える、一部を繰り上げ返済して残債を減らす、繰り上げ返済で完済するなどが可能か検討してみましょう。

物件の選定を見直す

現在検討している物件の収益性を再度見直してみることも必要です。
物件の残耐用年数、実質利回りをなど、具体的な数値をもとにエリアなども再検討してみると新たに良い物件が見つかるかもしれません。

借りやすい金融機関を探す

金融機関ごとに不動産投資ローンの基準が異なります。
民間の金融機関だけでなく、日本政策金融公庫なども検討材料のひとつとして、自分の目的や条件に合った金融機関を選びましょう。

まずは専門家に相談を

この記事では、不動産ローンについて、審査項目や審査に通るための対策などについて紹介しました。
実際に不動産会社に行って購入へ動き出す前に、不動産ローンについての詳しい内容や、返済シミュレーションなどを専門家であるファイナンシャルプランナーなどにじっくりと相談してみることをお勧めします。

記事の監修

伊藤 敦志 
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、証券外務員Ⅱ種
年間500件を超える相談業務、30件を超えるセミナー登壇を通じて金融リテラシーの向上に貢献。 ライフプラン分析を根拠とした分かりやすい資産形成の方法が幅広い層から好評を得ている。

メッセージ
社会環境の変化により私たちにはより一層の自助努力が求められています。 どのくらいの資金を準備しなければならないのか、どうやって準備するのか。 未来の自分のために、今から一緒に考えてみませんか

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この記事を書いた人

■ペンネーム
小泉寿洋(こいずみとしひろ)
■不動産歴
約18年
■保有資格
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP、ホームステージャー1級(LIFE)、終活カウンセラー1級、終活ガイド1級、遺品整理士、相続診断士、福祉住環境コーディネーター2級他
■得意なジャンル
賃貸不動産の仲介・管理、不動産投資、賃貸不動産経営
■簡単な自己紹介
上場グループに所属する不動産賃貸管理会社で賃貸仲介店舗、賃貸管理部門に所属し、社員から部門の管理職まで14年半ほど従事。その後、不動産仲介・リノベーション工事・生前整理・終活サポートの会社を仲間と立ち上げ、現在はフリーランスにて賃貸経営・賃貸管理・終活に関してのアドバイスやコンサルティング、終活セミナー講師、不動産系やFP系のライターなど各方面で活動中。

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